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お灸はなぜ効くのか 2016.05.10
お灸はなぜ効くのか
知熱灸は、患者さんの患部から2センチほど離して、熱いと思うまで温めます。熱過ぎると感じたら、ハイと返事してもらい、いったん冷やします。3回~4回ほど温めたり、冷やしたりします。それが知熱灸です。
患部に熱を加える衝撃によって、そこの細胞からタンパクが生産されます。
そのタンパクには、いくつかの有益な作用があります。この作用をうまく使って、病気になっている患部を治療したり、癌を取り除く力を倍加させることが出来ます。
知熱灸の働き
① 障害を受けて傷ついた細胞の修復をする。
② NK細胞の活性を高めて、癌細胞への攻撃力を倍加させる。
③ 癌細胞に取り付いて、この細胞は癌ですよと免疫細胞に教える。
④ 過度なストレスによって生産された乳酸を抑制して、健康体に近づける。
⑤ 痛みを和らげる作用がある。
熱を加えることによって、生産されるタンパクは知熱灸以外でも沢山ありま
す。岩盤浴、温泉、サウナ、遠赤外線治療等、熱を利用している治療法は全般に、このタンパクを利用しています。
上記の温熱療法は、身体全般を暖めているのに対して、知熱灸の場合は、患部にピンポイントで熱の衝撃を与えることによって、患部だけの活性を高め、治癒に導く効果が倍加されます。
その為には正確な治療点である事が、必要な条件となります。どこでも知熱灸を据えれば良いというものではありません。
蓄膿症で何十年も不愉快な思いをして、お医者さんに通ってもなかなか良くならない患者さんに、頭の4-1kというツボに知熱灸を据えると、鼻の周りの不快感が和らぎスーッとすることは良くあります。この知熱灸を続けていると蓄膿症は治るのです。
慢性便秘で苦しんでいる患者さんに、腰の3-1Kに知熱灸を据えると翌日には快便が出てきます。これは腰椎の2番、3番、から出ている神経は、腹部の大腸に分布しています。腰椎に知熱灸をすることにより、大腸の動きが活発になり、翌日の快便につながるのです。
このように部分的な病症に対して、ピンポイントで治療を行うことが出来ます。目の疲れに対して、目に直接、知熱灸をすることはありません。目に作用する頭のツボに知熱灸を据えると、目がスッキリとしてきます。
東洋医学の経絡【筋道】を考えて、この病症にはどの治療点を使えば良くなるのか、治療点【ツボ】をしっかり厳選して治療しています。
熱いと感じる温熱の刺激によって生産されるタンパクは、お風呂のような適温ではあまり生産されません。知熱灸のように、少し我慢できないなと思ったところで辞める温熱刺激【ストレス】によって良質のタンパクが生産されます。
生産されたタンパクは3~4日そこに留まり、病症の改善、痛みの緩和、冷えの改善、弱りを健康にする、など多くの利点が発揮されるのです。