癌患者さんの緩和ケア 2014.04.19
癌患者さんの緩和ケア
末期癌の患者さんは、痛みを始めとして、眠れない、身体がダルイ、食欲がない、頭痛、腹水、熱が出る、頭がボーっとする、食べる気がしない、などの症状に悩まされます。
当院では、末期癌の患者さんに対して、必ず治りますとか、良くなりますから大丈夫です,などは言わないようにしています。
希望を持たせて、突然の病変があった時、家族の落胆は大変です。何が起きるか分からない、末期癌の場合、当院では原則として、扱わない事に決めていました。
しかし、治らないまでも、少しでも楽に過ごせたい、痛みだけでも取ってもらいたい、食欲だけでも改善したい、もう少し眠れるようにしてもらいたい。
などの要望がある場合は、積極的に応じるようにしています。緩和ケアとしての、臨床経験から、鍼灸はかなりの効果がある事が分かっています。
もっとも効果のあるのが、痛みの緩和です。しかし、患者さんの病状によって異なります。鍼灸治療して、その後3日ほど痛みがない人もいれば、5時間後には又、痛みが出てくる人もいます。
癌の種類や、進展の程度によってかなりの違いがあります。痛み止めを使わなくても、これほどの効果を期待できることは、副作用の事を考えると、鍼灸は抜群の緩和ケア療法といえます。
癌になると、食欲不振を伴う患者さんが多くなります。この食欲不振に対しても、効果を発揮します。いきなり食欲が回復するというのではなく、3回ぐらい治療しているうちに、徐々に回復してきます。
その他、頭が痛い、熱が出る、頭がボーとする、眠れない、身体がダルイ、腹水、など沢山の症状を訴えるのですが、鍼灸の良いところは、多くの症状に対して、それぞれの治療点を1穴づつ増やすだけで対応できることです。
病院の場合は、何種類もの薬を処方しなければならないのですが、鍼灸の場合は、穴が増えるだけで対応できますので、副作用などの負担が極めて少ないのが特徴です。
しかもすべての症状に対して、即効的な効果を発揮します。鍼灸治療を経験された患者さんは、治療が終わると夜が明けたように、さっぱりとして気持ちが良いと言ってくださいます。
癌という難病患者さんの緩和ケアに、鍼灸治療が少しでもお役にたつ事が出来るのなら、協力させていただきたいと考えています。