臨床例

頭皮のかゆみ 2017.03.21

 

頭皮の痒み

 

 頭が痒い、掻くとますます痒くなる、頭に小さな湿疹ができている、湿疹をつぶすとベトツイテくる。等の症状として訴えてくる患者さんがいます。鍼灸治療では頭皮の痒みを、頭皮の過敏性頭皮と、虚弱性頭皮に分類します。

 

 過敏性頭皮の場合はアトピー性皮膚炎のように、過敏な頭皮となり、湿疹ができて、掻くとますます痒くなります。虚弱性頭皮の場合は、小さな湿疹が出来て、頑固にいつまでも治る気配がなく、患者さんを困らせます。

 

 頭皮が弱いために、地肌の常在菌である、マラセチア菌が、少しの肌荒れに対しても繁殖して、小さな湿疹を形成します。もともと頭皮が弱いために、この湿疹が頑個に住み着いて、かゆみを出し続けます。

 

 臨床例 男性 41歳

 

 2年ほど前から、頭が痒くなりだして、気になりだした。いつも左の側頭部に痒いところがあり、小さな湿疹が出来ている。掻きむしるとますます痒くなり、夜中もかゆくて、眠りながらもぼりぼり掻いている。安眠できないので何とかしてもらいたい。

 

 診察

 

 まず頭皮が虚なのか、実なのかを提鍼で調べてみる。この男性患者さんの場合、虚の反応が出ていた。虚弱性の頭皮にマラセチア菌が繁殖して住み着いているのだが、頭皮が弱いためにマラセチア菌を追い出す力が不足しており、いつまでも治らない状態であった。

 

 鍼灸治療では頭皮の力をつける治療を行います。頭皮に力が付くと、頭皮の力で、マラセチア菌を追い出すことが出来るのです。薬のようにマラセチア菌を殺す薬を使うようなことはしません。

 

 手足の背面は頭に関係していますので、手背と足背のどちらが、弱いかを比較すると、足背の方が弱っていました。さらに足背の中でもどの指が弱いかを比較すると、足背小指5-1Lが一番弱いことが分かりました。

 

 治療

 

 足背5-1Lの虚に対して知熱灸を、虚の反応がなくなるまで据えた。この治療によって、足背全体の虚が無くなった。足背の虚がなくなるということは、頭と関係していますから、頭も虚の反応が無くなっているはずです。

 

 頭に提鍼を当てて、虚の反応を調べてみると、反応が無くなっている。虚の反応が無くなっているだけではだめで、頭と腹、胸、背中、腰、等と比較しても頭が一番強い反応が出ていなければなりません。

 

 頭と他の部位を比較しても、頭が一番強い反応に変わっていました。このような状態に治療していると、何回かの治療で、頭の痒みは完全に良くなるのです。

 

 鍼灸治療の良い所は、頭皮を強める治療をするのに、足背5-1Lを使い、しかも1か所の治療点で、頭皮全体の強化をすることが出来る事です。

 

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