ぎっくり腰で歩くことも出来ない 2020.10.22
臨床例 女性、52歳
症状
今日朝起きて、腰を伸ばすやギクッと来てそれから動けなくなった。歩行もままならず、壁や椅子に掴まりながらやっとのことで移動する。
仰向けに寝ていると楽である。座っているのはつらい。
診察
このように急になる腰痛はぎっくり腰の特徴だ。このように酷い時にはぎっくり腰の複数の筋が痛んでいる可能性がある。前に曲げる時に痛むのは肝経の変動。後ろに反らす時に痛むのは胃経の変動だ。
本治法:
肝脾相克の正証:肝経陰、脾経2、腎経2、心経1の順番で虚の反応が出ていた。
肝経陰の虚に対して、右肝経陽が過敏になっており、強い実反応が出ていた。本治法で肝経を整えると共に、標治法で右肝経陽の実反応を取れば治るぎっくり腰と推定した。
肝経陽の治療点としては左太衝穴の接触鍼で瀉す。肝経陽5-4Kに実反応が有ったのでそこからウエーブで左背5-4Kに飛び、そこを治療点とした。ただ、このように酷いぎっくり腰の場合、肝経陽には何本にも治療点が出て来るので、1つ1つ取り除くことにした。
初回の治療:
本治法の知熱灸。左太衝穴の接触鍼。左背5-4Kの接触鍼と知熱灸をした。
この治療で身体を動かしてみると少し楽になったが、まだまだ痛いと言うので、左背5-3K、左背5-2K、左背5-1Kと順次接触鍼と知熱灸を追加した。
左背の肝経陽の治療としては、左背5-4Kから始まって、左背5-3K、左背5-2K、左背5-1Kと4本の筋に治療を加えた。ぎっくり腰でも酷い場合は、反応も広い治療部位にまたがる。
この治療により立ち座り、前屈、後屈、左右の屈曲が出来るようになった。しかし、まだ痛みは残っている。
5日後に2回目の来院:
1回目の治療後の翌朝は起きた時に痛みが酷かったが、動き出すのが楽になり、痛もあったが何とか仕事もできた。毎日少しずつだが楽になり、今日はほとんど痛みが無いと言う。
今回はまだほんの少し反応が残っている左背5-3Kに鍼灸をして終了した。