眠れない1 2017.06.12
眠れない①
睡眠にもいろいろな形があります。
① 眠りが浅い、寝つきも悪いし、寝ても夢ばかり見て、寝たような気がしない。
このような症状には、手の示指内端の接触鍼がよく効く。肺経は気を司っておりますので、肺経の昂ぶりは、気が興奮して寝られなくなります。
手示指内端を鍼先で軽く27回さすります。痛くもなく、痒くもない、この簡単な鍼は刺絡と同じ効果があり、その日からぐっすり寝られます。
② 夜中の1時から3時ごろに必ず目が覚める。3時を過ぎるとまた寝られる。
夜中の1時から3時は、肝経の時間帯です。ぐっすり眠ると肝臓がとても元気になり、朝はすっきり起きることが出来ます。
ところが肝実と言って、肝臓系統が過敏になっていると、肝臓の時間帯に肝臓を補うような気が入ってくると、過敏な肝臓が余計過敏になり、ぱっちりと目が覚めて寝られなくなります。
太衝または中封、どちらか実の強い方を選んで、接触鍼をして下さい。実の反応が取れると同時に、その夜から寝ることが出来ます。
③ 朝早く目が覚める、4時~6時に目が覚めて寝られない。もっと寝たいのだが、どうしても目が覚めてしまう。
4時から6時は、子午関係で、肺経の時間帯です。肺経が実となっている人の場合、過敏になっている肺経に気が入ってくると、さらに実が強くなり、肺の気が高揚して、朝早く目が覚めてしまいます。
肺経には、手の拇指内側と、手の示指内側、2種類の肺経があります。どちらかの肺経が実となっています。提鍼で手の拇指内端と手の示指内端を比較して実の強い方に、接触鍼をします。肺経の実が取れると寝られます。
④ 寝つきが悪い、寝ようとしても、必要ないことをあれこれ考えて、どうしても寝られない。1時間から3時間ぐらい苦しむ。
膀胱経の実があるとき、寝つきの悪い状態になります。背の1-1Kは大椎とその上下に当たりますが、ここは背の膀胱経1であります。
ここは、交感神経の起点でありまして、ここに実の反応があると、交感神経が興奮して寝られないのです。
交感神経は昼間優位になり活動します。夜は副交感神経が活発になり、内部環境を修復する時間帯となります。
ところが交感神経に実(過敏反応)があると、夜中でも昼間と同じように活動しますから、寝られないという状態になります。
治療は背の1-1Kに接触鍼をして、実の反応を取り除きます。その後、知熱灸をして補います。これによって交感神経の実反応がなくなり、眠れるようになります。
⑤ 頭がさえて寝られない。とても疲れているのに、寝ようとしても、頭がさえて寝る気になれない。
試験勉強、深夜労働、残業続きの労働、等で体がとても疲れている時に、やっと寝る時間が出来たと喜んで寝たとき、悪魔が襲ってきたのか、全然寝られない状態になります。
今日、寝ておかないと明日からの労働に差し支える。焦れば焦るほど寝られない、悶々とした時間がただ過ぎてゆく。
この状態は、疲れすぎて脳にダメージがある時、身体全身が疲れ切っている為、寝ようとして、副交感神経に切り替えようとします。
全身の血流を肝臓へ納めて、少量の血流で副交感神経は身体を運営します。この時、脳への血流も減ります。
脳はダメージを修復するため、今すぐ血流を少なくされては困るのです。
脳の血流を多くしてくれ、脳は交感神経に血流を多くしてくれるよう要請します。脳の命令は、王様の命令です。ただちに血流を多くします。
交感神経が活発になり、昼間と同じ血流状態になりますと、なかなか寝られません。
頭の頂点に、百会という穴があります。脳のダメージによる不眠には、この百会がとてもよく効きます。上記のような症状の時、百会穴に提鍼を当て、虚の反応があれば、ここに知熱灸をします。
これにより脳は十分に癒され、安眠することが出来ます。
⑥ 気分が悪くて寝られない。
何処となく気分が悪く、いやな気持になり、心が安定しないことがあります。
安眠もできません。
気の巡りは、陰は上り、陽は下る、と言いまして、正常な気の巡りは、足の裏から、下腿陰、大腿陰、陰部、腹部、胸部、喉部、顔面、上腕陰、前腕陰、手掌。
上記のように、陰の気は、足の裏からのぼり、手掌の指先まで上ります。そこから手背の指先へ回り、陽は下り始めます。
手背、前腕陽、上腕陽、頭部、頸部、背部、腰部、臀部、大腿陽、下腿陽、足背。このように陽の気は下るのが正常です。
ところが、風邪ひきを中心として、いろいろの病気の時、逆気と言いまして、気の巡りが逆転することがあります。普通の健康な人にも時々、逆気は起ります。
足底に一粒のマグレバンを貼り、下腿陰に2粒のマグレバンを貼って沈脈を診ると強く打ってくれば正常です。その逆になれば逆気があります。
逆気を治すには、本治法をすると、たちまち治ります。経絡治療が本治法を重視するのは、このあたりに根拠があるのかもしれません。