臨床例

右腰の腰痛、側弯症 2024.09.12



症状

 右腰が痛くて歩くのにも不自由する。特に、右に腰が出っ張り、右側弯症(左に傾く)になっている。左に体を傾けるのはスムーズに曲がるが、右に体を曲げようとすると何かつっかえた様な感じで、右には曲げる事が出来ない。

 

 立ち上がりや、歩行時も左に傾いてまっすぐに立つ事が出来ない。身体を左右回転する時も痛みがある。主訴は、腰の痛みだけで、他の症状は全くないという健康体の人であった。

 

 診察

 右腰の痛みなので、右足背に反応が出ていると見た。右の足背、胃経(示趾)に実の反応が出ていた。胃経の中でも、右足背4-2Kが最も実の反応が強く出ていた。そこからウエーブで背中に飛び治療点は反対側の左脊4—2Kとなった。

 

 普通の腰痛であれば上記の取穴で改善されるはずであるが、今回は右側弯症がある。この右側弯症を改善させるためには、左腰の4-2Kが必要となる。考え方としては左背4-2Kで上半身を右に引き寄せ、左腰4-2Kで下半身を右に引き寄せる。

 

 これで上半身と下半身が左に引かれるのを防止して正常な体位にする作用があると考えている。側弯症の治療点はなかなか見つからないので苦労する鍼灸家が多いと思うが、ぜひこのやり方で治療を試みてもらいたい。

 

治療

 脊4—2Kは実の反応であったので、鍼先で35回ぐらい摩ると、背中の反応は取れた。次に腰4-2Kは実と虚の反応であったので、まず実の反応に対して鍼先で35回ぐらい摩ると実の反応が取れた、残っている虚の反応に対して知熱灸7壮で補った。

 

 治療後、立ち上がらせて左右の側弯を見ると、正常に立っている。立ち座り、足ふみ、前屈、後屈、大幹を左右の曲げて貰っても、左右共に正常に曲げられた。本人の納得いくまで体を動かして貰ったが、どこにも異常が無くなったので治療を完了した。

 

 この側弯症というのは、曲がっている側が正常で、曲げられない側が患部であることを認識して、曲げられる側の背中と腰に治療点を見つけて、施術すると良い。これは実の反応であるから、健側の背中と腰での治療は鍼または鍼と灸をする。

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