臨床例

坐骨神経痛 2010.05.20

坐骨神経痛

 

とにかく痛い病気である。痛み止めを飲まなくてはどうにも止らない不愉快なもので、寝ているときに痛んでくるので、夜もろくろく寝られない。

ノイローゼになるほどの痛みが、24時間襲ってくる。雨の前や、冷えたときには特に酷い。天気のよいときには、わりと調子のよいときもある。

 

 

 

65歳、男性、2週間前から上記のような症状が出て、困っている。病院から接骨院から、あちこち行ってみたが、あまり芳しくない。

 

治療すると返って痛くなるときもある。

 

 

 

 診察

 

 右の臀部から大腿、下腿、つま先まで、右側に痛みが走っている。

 

大腿は後側で、下腿は外側、つま先は全体に、痺れるような痛みがある。

 

 

 

 治療

 

 椎間板ヘルニアがある場合が多く、腰椎の一部が肥厚して、神経を圧迫するために痛みが発生する。

 

肥厚している角度によって、痛みの出てくる位置も変わってくるし、運動痛も特定の運動によって悪化する。

 

 

 

 養生法

 

 痛む方向の運動はなるべくしないようにする。姿勢もその人によって痛く無い姿勢があるから、その姿勢をとって安静にする。

 

臀部が痛いのだが、指圧は臀部のすぐ下で、大腿に承扶と言う穴がある。そこを指圧してやると痛みが和らぐ。

 

 

 

 治療法

 

 坐骨神経痛は、痛みが酷いので、実痛のように思えるが、虚痛として捉え、治療を施すと痛みが和らぐ。その上で1つの経だけ実と虚の混ざった経がある、その経に接触鍼をして、実を取り除き、その後、知熱灸をして補っておくと、肥厚しているヘルニアが良くなってくる。

 

 

 

 治療

 

 本治法 脾腎相克 男性であるから左から心経の通里、脾経の商丘に知熱灸。

 

          右肝経の中封、腎経の復溜に知熱灸。

 

          邪気があったので、左支正、左豊隆、右光明、右飛陽に接触鍼をした。

 

 

 

 標治法 本治法に対する標治法が最も効果を発揮する。

 

     心経に対しては左の胸椎4,5番の脊際に知熱灸をして補う。

 

     脾経に対しては左の腰椎4,5番の脊際に知熱灸をして補う。

 

     肝経に対しては左期門穴に知熱灸をして補う。

 

     腎経1行線が左腹の中極穴とその左3㎝のところに知熱灸。

 

     腎経2行線が左曲池に知熱灸。

 

 

 

     補いはすべて患側と反対の左側にとることがポイントとなる。

 

     

 

     膀胱経の実に対して、左太椎と左胸椎1番の脊際に接触鍼をして実を取り除いてから、その後に知熱灸をする。

 

 

 

このような治療をすると今まで痛みのため、ゆがんでいた顔がゆるんできて、

 

ずいぶん楽になりました。といって感謝された。

 

その後、5回の治療でほとんど痛みが感じなくなっている。

 

 

 

 考察

 

 ヘルニアは痛い状態を続けていると、ますます悪化する。

 

速やかに痛い状態から開放することによって衰退してくるのではないかと思

 

われる。

 

鼻詰まりの人で鼻の中が肥厚している人がいる。また、鼻竹と言って

 

尖ったできものが出来ることもある。

 

 これらとヘルニアが同類のものであるかどうかは不明であるが、腰椎の中で

 

肥厚して来る組織が神経を圧迫しているのは事実であるから、治療法が適切な

 

場合は衰退もあると確信する。

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