臨床例

テンカン 2010.03.06

テンカン

 

59歳、女性、20089月に1回目の発作がうまれてはじめて起きた。

 

それから毎月1回のペースで倒れるようになった。2009215日、1日に2回倒れる、去年から合計7回倒れた。

 

 

 

 2回倒れたときには、かなり酷かったのか、意識が戻ってからも体中が痛くて、今でも肩から首、背中、頭のほうまで痛い。

 

 

 

 医者から薬をもらっているのだが、倒れる回数はだんだん多くなってくるような感じになっている。救急車で運ばれるのもかっこ悪いし、鍼灸で何とかなりませんかと言って来院する。

 

 

 

 診察

 

 肝臓系統の異常過敏症状が特徴的に出ていた。

 

膀胱系統にも異常過敏症状があり、この両方の過敏状態が頂点に達したとき、発作となって現れる。

 

 

 

 肝臓系統、膀胱系統の過敏に対して、心臓系統が弱い反応を示している。そのため発作時は本人に意識が無いものと思われる。

 

 

 

 今までの経験から、このような実傾向(強い反応による病気)の場合は、病名や症状は派手で大変な病気に思われるが、鍼灸治療では案外簡単に治ることが多い。

 

 

 

 ぎっくり腰のように、大騒ぎする痛みの場合は、当院では長くても3回もあれば充分に完治してしまう。テンカンもこれと同じで実傾向の病であるから、きちんと治療点を考えて治療を加えれば難なく、全快するものと思われる。

 

 

 

 実際の治療記録(専門用語が多くてごめんなさい)

 

本治法 脾腎相克「心経を使う」 右霊道、右商丘、 左復溜、左間使、を知熱灸で補う。

 

標治法 * 肝経の実に対して、左中封に接触鍼をする。

 

    肝経の子午に当たる、小腸経に実反応があったので、背中の太椎とその左右3センチの間に、接触鍼をしてから実反応を取り除き、その後知熱灸をする。

 

    膀胱径の実に対して、下腿の委中穴近辺に実反応を見つけ接触鍼で取り除き、その後知熱灸をして補う。

 

    心経の弱りに対して、背中の胸椎4,5、を知熱灸で補う。

 

    腎経に対して、陰谷穴を補う。

 

    脾経に対して、腰椎の45番に知熱灸をする。

 

    心包経に対して、お臍とその上下1点に知熱灸をする。

 

 

 

以上の治療をした。治療が終わると、肩、首、背中、頭の痛みはなくなっていた。脈診により肝臓系統の実と、膀胱系統の実が完全に取り除かれているのを確認した。また心臓系統の弱りも、脈診で回復しているのを確認した。

 

 

 

テンカンのように強烈に引きつる病は、肝臓系統の異常過敏状態が原因になっている。日常生活の中に肝臓系統を酷使することが多い場合がある。

 

お酒の飲みすぎ、油もの、肉類、食べすぎ、タバコ、間食、寝る前の食事、睡眠不足、過労、などが原因で肝臓系統の過敏が生じる。

 

 

 

 必ず生活習慣病が根底にあることを意識して、生活のどの部分を改善してゆけば良いか、冷静に見つめて改善することが根治に到ります。

 

 

 

 ちなみに、今回の患者さんの場合、生活の内容を問いただしたところ、ビールが好きで、毎日ビールを飲んでいるとの事でした。ご飯を食べなくても、ビールさえあれば満足だそうです。

 

 

 

 ビールの量をどれだけ抑えられるか、自分の節制がこの病気の改善につながることをよく説明した。

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