食べられない 2017.02.20
食べられない
臨床例 女性 59歳 食欲不振
友達と食事会をしたとき、あなたは沢山食べないから肥れないのよ。思い切ってたくさん食べてごらんなさいよ。友達みんなに言われて、そんなものかと思い無理して食べてみた。
その日からひどく、背中や胸が苦しくなり、食べ物を見ると吐きそうになる。全く食べる気がしない。
食べないから、お腹はすいている感じがあるので、食べようと思い、食物を目の前に置くと、もう嫌だという感じが起きてくる。
友達や、親戚が心配して、励ましたり、お説教をしたり、ヤイヤイやかましくいってくる。それを聞くとまた食欲がなくなる。
自分でもこれはいけないと思い、おにぎりを無理に食べたり、食パンを少しちぎって食べてみるが、吐き気がして食べられない。
ヨーグルト、バナナ、は食べられるので、朝だけヨーグルトとバナナを1本食べている。水も飲んでいる。
医者へ行くと、検査だ、薬だ、点滴だ、それを考えただけで、私には無理だ、受けたら死んでしまう。恐怖観念が先に立ってとても行く気になれない。
精神的にも参っているようだ。あまり周りから攻められると、パニックを起こして、過呼吸になろうとする自分を感じる。
診察、
相当、弱っているので、鍼は一切しない。知熱灸だけで、補い専門の治療をする。 胃の系統、腹、胸、頭、背、腰、の順番で弱っていた。
治療すると体全体がとても軽くなったという。特に頭の治療では、お灸をしているうちにダンダン、気持ちが楽になりすっきりしてきたと言って喜んだ。
2日後、来院、鍼灸をした日は、とても楽になって、帰ってからおうどんを作り食べてみたが、すっきりと食べられてとても嬉しかった。
少し元気が出たので、犬の散歩もして帰ってくると、旦那がビックリして、鍼灸治療はすごいなあと感心していた。
鍼灸治療は提鍼という診察専門の器具を使い、全身から、弱っているところを探し出します。診察が僅か10分ぐらいの短時間で終わります。
検査で何日もかかる西洋医学と違い、まったく副作用もなく、その場で弱っている個所がわかる鍼灸の診察は画期的なものがあります。
知熱灸をして、弱っているところを補ってやると、胃が活発に動き出し、食欲も出てきます。また、全身的な弱りも調整しますので、自然治癒能力が活発となり、元気が出てきます。
この患者さん、週2回来てもらい、5回の治療で完治している。体の非常に弱い患者さんで、検査や薬、などには耐えられない体質を持っており、いつも困り果てていた。鍼灸治療がぴったりと体に合ってとても喜んでいる。
治療
本治法 脾腎相克 兪土穴 右太白、右大陵、
左太谿、左太淵、に知熱灸をする。
本治法に兪土穴を使うのは、全身の元気を高め、免疫力を活発にす
る。体の弱い人には一番大切な治療となります。
標治法
胃の弱りに対して、足三里穴、食欲が出る。
腹にはへそL、 身体全体の弱り、特に腹の弱りに効く。
胸には膻中、 胸全体の弱りに効く。
背中の3-1K, 背中全体の弱りに効く。
腰のⅠ⁻1L 腰全体の弱りに効く。
頭4-1Kと頭1-2L 頭を活発にして、全身の気の流れ をよくする。