本治法の解説 2020.07.09
本治法の証を決定するにあたって、普門堂では手足ブロック陰の比較脈診で一番虚となっている所を主証と決めています。手足ブロック陰は手掌、前腕陰、上腕陰、足底、下腿陰、大腿陰の6ブロックがあります。
その6ブロックを比較脈診で一番虚となっている所を、探し出して証と決めています。
手掌は肺経の虚で証は肺肝相克となり経金穴を使います。前腕陰は心経の虚で証は心肺相克となり栄火穴を使います。上腕陰は脾経の虚で証は脾腎相克となり愈土穴を使います。
下腿陰は腎経の虚で証は腎心相克となり合水穴を使います。大腿陰は肝経陰の虚で証は肝脾相克となり肝木穴(大腿内側)を使います。
足底の虚は特別です。井木穴と言うのは脳内の変調を治す本治法のツボです。脳は全身の司令塔であり、特定の臓器だけを保護するような事はしません。その為、井木穴の証はすべての臓器に関係したものになります。
井木穴では、証が5つあります。肝脾相克、肺肝相克、腎心相克、脾腎相克、心肺相克、の5つの証と、その変証5つが加わり10の証があるのです。
5つの証は井木穴を使った 肺肝相克、肝脾相克、腎心相克、脾腎相克、心肺相克。
5つの変証は井木穴を使った 肺2肝陽相克、肝陽脾1相克、腎1心包経相克、脾1腎1相克,心2肺2相克。
肺肝相克と言うのは肺経1、肝経陰、脾経2、腎経2、の順番で虚があるという事です。そして経金穴を使い取穴します。この時、同じ肺肝相克でも肺経2、肝経陽、脾経1、腎経1、を使う変証も有ります。どちらを使うかは、肺経1と肺経2を比較してみて下さい。又、肺経が一番虚でありますから、肺経を尅する心経やその子午関係にある胆経を補う事は良くありません。瀉法や瀉法をしてから補法をする事は良いです。
心肺相克と言うのは心経1、肺経1、肝経陰、脾経2の順番で虚があるという事です。
そして栄火穴を使い取穴します。この時、同じ心肺相克でも心経2、肺経2、肝経陽、脾経1、を使う変証も有ります。どちらを使うかは、心経1と心経2を比較してみて下さい。心経が一番虚でありますから、心経を尅する腎経やその子午関係にある大腸経は補いません。
脾腎相克と言うのは脾経2、腎経2、心経、肺経1の順番で虚があるという事です。
そして愈土穴を使います。この時、同じ脾腎相克でも脾経1、腎経1、心包経、肺経2、を使う変証も有ります。どちらを使うかは、脾経1と脾経2を比較してみて下さい。脾経が一番虚でありますから、脾経を克する肝経やその子午関係にある小腸経は補いません。
肝脾相克と言うのは肝経陰、脾経2、腎経2、心経1の順番で虚があるという事です。そして肝木穴を使い取穴します。この時、同じ肝脾相克でも、肝経陽、脾経1、腎経1、心経2を使う変証も有ります。肝経陰と肝経陽を比較してみて下さい。肝経が一番虚でありますから、肝経を尅する肺経やその子午関係にある膀胱経は補いません。
腎心相克と言うのは腎経2、心経1、肺経1、肝経陰の順番で虚があるという事です。
そして合水穴を使い取穴します。この時、同じ腎心相克でも腎経1、心包経、肺経2、肝経陽を使う変証もあります。どちらを取穴するかは、腎経1と腎経2を比較してみて下さい。腎経が一番の虚でありますから、腎経を尅する脾経やその子午関係にある三焦経は補いません。
井木穴を使う場合は先にも記したように、脳内と関係していますので、全身の司令塔でありますから、全部の証が対象になります。その為、5つの証と5つの変証があります。
井木穴を使う場合は脳梗塞後遺症や先天性小児疾患、成人してから脳内に損傷を受けた人、痴呆性老人、などが対象になります。
手足指の経絡
手掌拇指は肺経1、 手掌示指は肺経2、 手掌中指は心包経、 手掌薬指は心経2、
手掌小指は心経1、となっています。
足底拇指は肝経陰、 足底示指は脾経2、 足底中指は脾経1、 足底薬指は腎経2、
足底小指は腎経1、となっています。足の拇指だけは肝経陰と肝経陽に別れます。足拇指の足背側が肝経陽となります。
更に分かり易い方法として足底に2粒のマグレバンを貼り、1粒の提鍼で6つのブロックを比較してゆきます。どこか1カ所が実反応を示します。その実の経が分かると、その実の経に相克する所が一番の虚となっている経です。
例えば、6ブロックの中で肺経(手掌)が一番実だとします。肺経が実だという事は、肺経が尅する肝経が、一番の虚となっているという事になります。肝経が一番の虚という事は証が肝脾相克ということです。肝経(大腿陰)、脾経(上腕陰)、腎経(下腿陰)、心経(前腕陰)、の順番で虚となっています。
そこから肝経陰と肝経陽を比較脈診します。肝経陰が虚であれば通常の肝脾相克となり、肝経陽の方が虚であれば、肝経陽、脾経1、腎経1、心経2の変証となります。ちなみに変証の場合が病症は重く、こちらを上手に治すとリピート率がぐんと上がります。
次に総まとめとして本治法の新しい取穴法として次ページに記しておきます。
本治法の新しい取穴法
*肝木穴 証は肝脾相克 肝臓と関係
肝経陰 脾経2 腎経2 心経1肺経1は肝経陰を克する。
肝経陽 脾経1 腎経1 心経2 を取穴する変証もある。 肺経2は肝経陽を尅する。
男性は左から心経、脾経2.右から肝経陰、腎経2.を取穴する。 女性はその反対
*経金穴 証は肺肝相克 肺臓と関係
肺経1 肝経陰 脾経2 腎経2 心経1は肺経1を克する。
肺経2 肝経陽 脾経1 腎経1を取穴する事も有る。男性は左から肺経1、脾経2。心経2は肺経2を尅する。
*合水穴 証は腎心相克 腎臓と関係
腎経2 心経1 肺経1 肝経陰脾経2は腎経2を尅する。
腎経1 心包経 肺経2 肝経陽 の取穴もある。 脾経1は腎経1を尅する。
男性は左から腎経、肺経、右から心経、肝経を取穴する。 女性はその反対。
*愈土穴 証は脾腎相克 膵臓と関係
脾経2 腎経2 心経1 肺経1肝経陰は脾経2を克する。
脾経1 腎経1 心包経 肺経2 の取穴もある。男性は左から脾経、心経。 肝経陽は脾経1を尅する。
*栄火穴 証は心肺相克 心臓と関係
心経1 肺経1 肝経陰 脾経2腎経1は心経1を克する。
心経2 肺経2 肝経陽 脾経1 の取穴もある。 腎経2は心経2を尅する。
男性は左から心経、肝経。 右から肺経、脾経を取穴する。女性はその反対。
*井木穴 証は10個ある 脳内と関係
井木穴は脳内と関係している。脳は全身の司令塔である為、特定の臓器に偏る証は無く、全部の証に関係を持つ。ゆえに5つの証と、5つの変証がある。
5つの証 肝脾相克、肺肝相克、腎心相克、脾腎相克、心肺相克。
5つの変証 肝経陽脾経1相克、肺経2肝経陽相克、腎経1心包経相克、脾経1腎経1相克、心経2肺経2相克
井木穴を使う時にはまず陰経の、6ブロックの中で一番、井木穴が虚となっている事を確認してください。次に残りの5ブロックの比較脈診をして一番虚となっている所を探します。そこがその人の証となります.さらに正証か変証かを確認してください。