鍼灸おを学ぶ

本治法の解説 令和2年11月 2020.11.09

 本治法の証を決定するにあたって、普門堂では手足ブロック陰の比較脈診で一番虚となっている所を主証と決めています。手足ブロック陰は手掌、前腕陰、上腕陰、足底、下腿陰、大腿陰の6ブロックがあります。

 

 その6ブロックを比較脈診で一番虚となっている所を、探し出して証と決めています。

手掌は肺経の虚で証は肺肝相克となり経金穴を使います。前腕陰は心経の虚で証は心肺相克となり栄火穴を使います。上腕陰は脾経の虚で証は脾腎相克となり愈土穴を使います。

 

 下腿陰は腎経の虚で証は腎心相克となり合水穴を使います。大腿陰は肝経の虚で証は肝脾相克となり肝木穴(大腿内側)を使います。

 

 足底の虚は特別です。井木穴と言うのは脳内の変調を治す本治法のツボです。脳は全身の司令塔であり、特定の臓器だけを保護するような事はしません。その為、井木穴の証はすべての臓器に関係したものになります。

 

 井木穴では、証が5つあります。肝脾相克、肺肝相克、腎心相克、脾腎相克、心肺相克、の5つの証と、その変証5つが加わり10の証があるのです。

 

5つの証は井木穴を使った 肺肝相克、肝脾相克、腎心相克、脾腎相克、心肺相克。

5つの変証は井木穴を使った 肺2肝陽相克、肝陽脾1相克、腎1心包経相克、脾1腎1相克,心包経肺2相克。

 

 肺肝相克と言うのは肺経1、肝経陰、脾経2、腎経2、の順番で虚があるという事です。そして経金穴を使い取穴します。この時、同じ肺肝相克でも肺経2、肝経陽、脾経1、腎経1、を使う変証も有ります。どちらを使うかは、肺経1と肺経2を比較してみて下さい。又、肺経が一番虚でありますから、肺経を尅する心経やその子午関係にある胆経を補う事は良くありません。瀉法や瀉法をしてから補法をする事は良いです。

 

 心肺相克と言うのは心経1、肺経1、肝経陰、脾経2の順番で虚があるという事です。

そして栄火穴を使い取穴します。この時、同じ心肺相克でも心経2、肺経2、肝経陽、脾経1、を使う変証も有ります。どちらを使うかは、心経1と心経2を比較してみて下さい。心経が一番虚でありますから、心経を尅する腎経やその子午関係にある大腸経は補いません。

 

 脾腎相克と言うのは脾経2、腎経2、心経、肺経1の順番で虚があるという事です。

そして愈土穴を使います。この時、同じ脾腎相克でも脾経1、腎経1、心経2、肺経2、を使う変証も有ります。どちらを使うかは、脾経1と脾経2を比較してみて下さい。脾経が一番虚でありますから、脾経を克する肝経やその子午関係にある小腸経は補いません。

 

 肝脾相克と言うのは肝経陰、脾経2、腎経2、心経1の順番で虚があるという事です。そして肝木穴を使い取穴します。この時、同じ肝脾相克でも、肝経陽、脾経1、腎経1、心経2を使う変証も有ります。肝経陰と肝経陽を比較してみて下さい。肝経が一番虚でありますから、肝経を尅する肺経やその子午関係にある膀胱経は補いません。

 

 腎心相克と言うのは腎経2、心経1、肺経1、肝経陰の順番で虚があるという事です。 

そして合水穴を使い取穴します。この時、同じ腎心相克でも腎経1、心包経、肺経2、肝経陽を使う変証もあります。どちらを取穴するかは、腎経1と腎経2を比較してみて下さい。腎経が一番の虚でありますから、腎経を尅する脾経やその子午関係にある三焦経は補いません。

 

井木穴を使う場合は先にも記したように、脳内と関係していますので、全身の司令塔でありますから、全部の証が対象になります。その為、5つの証と5つの変証があります。

井木穴を使う場合は脳梗塞後遺症や先天性小児疾患、成人してから脳内に損傷を受けた人、痴呆性老人、などが対象になります。

 

手足指の経絡

 

手掌拇指は肺経1、 手掌示指は肺経2、 手掌中指は心包経、 手掌薬指は心経2、

手掌小指は心経1、となっています。

 

足底拇指は肝経陰、 足底示指は脾経2、 足底中指は脾経1、 足底薬指は腎経2、

足底小指は腎経1、となっています。足の拇指だけは肝経陰と肝経陽に別れます。足拇指の足背側が肝経陽となります。

 

 更に分かり易い方法として足底に2粒のマグレバンを貼り、1粒の提鍼で6つのブロックを比較してゆきます。どこか1カ所が実反応を示します。その実の経が分かると、その実の経に相克する所が一番の虚となっている経です。

 

 例えば、6ブロックの中で肺経(手掌)が一番実だとします。肺経が実だという事は、肺経が尅する肝経が、一番の虚となっているという事になります。肝経が一番の虚という事は証が肝脾相克ということです。肝経(大腿陰)、脾経(上腕陰)、腎経(下腿陰)、心経(前腕陰)、の順番で虚となっています。

 

 そこから肝経陰と肝経陽を比較脈診します。肝経陰が虚であれば通常の肝脾相克となり、肝経陽の方が虚であれば、肝経陽、脾経1、腎経1、心経2の変証となります。ちなみに変証の場合が病症は重く、こちらを上手に治すとリピート率がぐんと上がります。

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