鍼灸おもしろ日記詳細｜丸亀市・高松市の鍼灸院は普門堂鍼灸院

鍼灸治療は面白い

　鍼灸治療ほど面白い職業は他にないだろう。何しろ痛みといっても、身体の部位には何万点もの痛みの部位があります。痛みひとつをとっても、患者さんにとって全部、痛む部位が違うし、治療点も違ってくる。その痛む部位にあった治療点を探さなければならない。

　痛い部位に治療するのではない。どこが悪くて、その部位に痛みが出ているかを探し出し治療するのです。そうやって探し出した治療点がピシャリと合っている場合、痛みは治療後すぐに良くなっている。

　ぎっくり腰で、痛みがひどく、やっとのことで寝台に上がった患者さんが、帰りにはスタスタ歩いて、何でもなかったような顔をして帰ってゆく。痛いと訴える患部に治療したのでは、こんなにうまくはゆかない。

　痛みだけではない、総ての疾患に置いて、根本的な治療を行っている。たまには、特定の部位でない疾患、憂鬱、元気が出ない、ボーっとする、カーッとなる、やたら歩き回るなど。病気なのか、気の持ち方なのか、分からない疾患であっても身体のバランスの変化をとらえて治療している。

　治療点は何処にあるのか、毎回、謎解きのような問題を突きつけられる。うまく当たるようになると、その謎解きが実に面白い。簡単なものから、中には一晩中、夢の中まで謎解きを迫られるときもある。

　酷く難しい謎解きが、解決すると、その実績が技術の上積となる。しかし、人間の仕組みは複雑極まりなく、おそらく謎解きの終わりはないだろう。この果てしない複雑さ、ここに挑戦している鍼灸治療ほど魅力的なものはない。

　山男はエベレスト登頂を、命をかけて難関に挑むが、誰をも寄せ付けない絶壁の岩盤が、山男の闘志を掻き立てるのだろう。確かに難関であればあるほど、それを乗り越えた時の爽快感は計り知れない。

　
　鍼灸治療は世間では、ひどく安っぽく考えられている傾向にあるのだが、本当の鍼灸治療というのは、病を根本的に治癒に導く力がある。その治療過程で難かしい推理が、毎回課せられる、そこがまた、何とも楽しい時間であり魅力となっている。