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虫歯体験記 2017.03.31
虫歯体験記
ある日突然、下の奥歯が疼きだした。その日は夜になってズキンズキンと脈を打つような痛みが襲ってきた。昼間食べたチョコレートが原因かもしれない。とりあえず、正露丸を詰めて痛みだけ止めた。
翌日右の頬っぺたがプックリと膨れて、歯茎は丸々と腫れている。歯をかみしめるのも痛い。みんなの前に出るのもかっこ悪いなあと思ったが仕方がない。
出社してみると案の定、先生どうしたのですか?虫歯ですか?と矢継ぎ早の質問だ。昨日食べたチョコレートだと思うけど、虫歯にやられちゃったよ。といってごまかした。
先生、歯医者に行って、処置しないと大変なことになりますよ。歯茎から菌が入って顎を手術した人も居るのですから。
俺は、78歳まで、歯医者には一度も行ったことが無い。今回も歯医者にはいかずに自分で治してみせる。先生、そんなことを言って、ダメですよ。虫に歯が食べられてしまいますよ。
もう、奥歯が今までの間に3本も食べられて、無くなっている。今回の奥歯も、おそらく食べられてしまうだろう。それでも歯医者にはいかない。歯医者で削ったり、抜いたりするのが怖いんだ。
従業員はあきれ顔で、馬鹿にしている。先生写真を撮ってあげますよ。こっちへ来てください。そこで撮ってくれた写真がこれだ。
次の日は日曜日で、孫がじっちゃん、じっちゃん、といって遊びに来た。じっちゃんその頬っぺたはどうしたの、歯医者に行って薬を塗ったらすぐ治るよ。いいんだよ、虫に歯を食べさせているんだから、と虚勢を張った。
ますます膨れ上がるし、モノを食べるのにも痛くて困難になって来た。これではいかん、鍼灸で治療することにした。骨は腎経の司りである。腎経を強めれば骨が強くなる。歯も骨だから当然、歯の底力が強くなる。
まず、腎経を強めてから、歯に来ている経絡をたどって、治療点を突き止め、鍼灸で歯の治療をした。
翌日から頬っぺたの腫れが引き始めた。毎日、歯の治療をしたところ3日目にはすっかり頬っぺたの腫れは無くなった。
どうだ、歯医者に行かなくてもこのように治るのだよ。先生、それはそうだけど、虫に食べられて歯は無くなってしまいますよ。いいんだよ、虫歯と俺は共存しているのだから。
みんなのために、虫歯でも鍼灸治療で治る事を、実証して見せたのだよ。先生、自分の身を削って、見せてくれたのですね。半分バカにしてあきれている。
今、78歳だが、死ぬまで歯医者には行かないつもりだ。歯医者に行かなくても、78歳の同年代と比べると、歯の生存率はずっと上回っている。歯は歯医者で健康になるのではない。自分の生活習慣の良し悪しで歯も身体も健康になるのだ。
ただし、この体験記を読んだ人は、歯医者に行ってください。あくまでも個人的な判断であるし、鍼灸という技術を持っているので、別格と考えてください。