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老人と鍼灸 2011.06.24
老人と鍼灸
鍼灸院を経営していると老人のお客さんが多く来ます。年をとると訴える症状が多くなって、一人のお客様で10か所以上の症状を訴えるのは珍しくありません。
腰痛、首、肩の凝り、肘痛、頭がぼーっとする、ダルイ、しんどい、眼がしばしばする、手足のしびれ、眠れない、胃腸の具合が悪い、小便が近い、など多くの症状を訴えて来ます。
老人の場合は、冷え、過労、転倒、疲れ、などから次々に病気が増えてきます。体力が弱っているため仕方がありません。
鍼灸治療ではこれらの症状をすべて体のバランスの崩れと捉え、どこが弱って、強すぎるところはどこか、身体全体を総合的に診て、体全体のバランスをとる治療を施します。
そのため症状に応じて治療点がやたら多くなることはありません。体のバランスをとることによって、身体が病気を治す方向に動き出してくれます。
弱っているところと、強くなりすぎているところが、シーソーのように上がり下がりする場合が多いので、弱っている部分を補うだけで、強い部分の症状はなくなることがあります。
強い部分の症状といっても、本当の過敏ではなくて、弱りに対して相対的に実となって表れている場合があります。そのため弱っている部分を補うだけで実(強さ)が消えてしまうのです。そのような弱い実に対して鍼をすると老人は体調を崩してしまいます。
老人の場合は気力、体力が弱っていますので、なるべく鍼はしません。お灸をして、気を補う治療を重点に施します。その結果、体力が付いてくると、自然に多くの症状が軽くなってきます。
気が充実してくると、動きも活発になり、元気な老人として運動や畑仕事ができるようになります。
痛みがどうしても取れない場合のみ、軽く鍼をして痛みを取り除き、その後、お灸をして、気の補充を行います。楽しく、元気で、長生きできることを目標にして鍼灸治療をしています。