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古くて新しい病気 脚気 2009.06.17
古くて新しい病気 脚気
現代人にも広く蔓延している病気、脚気。脚気は過去の病気ではありません現代においてますます広がっている病気です。
治療院に81歳の老人が来ました。足がむくんで、シビレ、痛みがある。膝や足首に力が入らずヒヨロヒョロする。動悸、息切れ、少し歩くと心臓が苦しくてハーハー息をする。2ヶ月前に肺に水が溜まり入院して水を抜いて貰った。肺の水は何とかなくなったが、下半身の弱りが酷く、なんとか治りませんかと言って来院したのである。
この病気の原因が脚気であります。白米、刺身、甘いもの、肉、魚、と普通の食事をしているのに脚気になるのです。
高校生、大学生を中心に若者に広く蔓延しております。白米が主食で肉、魚、野菜などを取っていますが、間食として甘いものや清涼飲料水がおおく飲まれています。
この甘い物の取りすぎが肉、魚、野菜、などに含まれるビタミンB1を差引してビタミンB1不足になるのです。
徳川幕府の時代、13台、14台将軍の家定、家茂も脚気で死亡したと言われ、脚気が社会問題化したのは江戸時代後期からです。明治時代も増え続け、年間1万人以上が死亡しています。
精米によるビタミンB1不足が原因ですが、原因究明の過程における、陸海軍の脚気論争は有名です。海軍は高木軍医総監が「食事の欠陥で起きる」とし、食事の改善で早期の制圧に成功しました。
陸軍はこれを俗説として排除。時の陸軍軍医総監の森鴎外は「すべての病気は細菌によって起こる」として、細菌説に固執しました。その結果、日清、日露戦争で戦死者を上回る脚気死を出しました。対する海軍には脚気死が皆無でした。
脚気に効く食事として、お勧めなのが玄米食です。
玄米にはビタミンB1が多く含まれています。白米を主食とする人は、ビタミンB1が欠乏する恐れがあります。精米すると、ほぼ全部のビタミン類が取り除かれてしまうからです。
ビタミンB1を多く含む食品は、玄米、豚肉、うなぎ、えだまめ、えんどうまめ、大豆、ゴマ、ピーナッツなどがあります。
脚気の初期症状としては、疲れやすい、眠れない、食欲がない、むくみがある、動悸がする、朝起きるのがつらい、身体が重いなどの症状があります。
やがて、重度の脚気になりますと、神経、心臓、脳の異常が起こります。
当院の患者さんの中で上記の症状を訴える人は非常に多くなっています。程度の差こそあれ、多くの人が脚気に関係した症状を呈しています。
栄養状態はよくなっている現代ですが、それ以上に甘いものや清涼飲料水のとりすぎが多く、ビタミンB1の摂取量を上回り、その結果としてビタミンB1不足になっているのです。
甘いものや、清涼飲料水には砂糖がふんだんに使われています。この砂糖がビタミンB1不足に追い込ませるのです。現代の脚気は砂糖の害を取り除くことが必要となります。