精神障害 2008.03.22
原因
精神病の精は精液の精で腎臓をあらわします。神は神様の神で心臓をあらわしています。腎臓と心臓の弱りが精神病であります。弱りというのは悪くなっているという意味ではありません。不安定になっていると解釈してください。
腎臓、心臓の弱りがあると、精神的に恐怖観念や不安感がでてきます。
この腎臓、心臓の弱りに対して、肝臓、肺臓が興奮して神経過敏になっています。
そのため、眠れない、いらいらする、怒りっぽい。などの症状が出てきます。
冷え性の体質、産後、手術後、過労、精神的な圧迫感、セックス過多、虚弱体質、などの人がなりやすい傾向にあります。
しかし、若者で頑健な身体の持ち主の中にも時々この症状を表す人があります。肉や脂っこい食事で内臓の疲れがあるためか、または、セックス過多によるものか原因がはっきりしません、しかし、子供にも若者にもこの症状を現す人が年々増えている現実があります。
一般的な治療
精神障害を起こしている人に、お説教をしてはいけません。病気で本当に恐怖観念や精神不安定があるのですから、励ましたり、ああしなさい、こうしなさい、などの押し付けは本人に負担をかけるだけです。本人の気が休まるように、聞くだけして逆らわないことです。同じことを何度も何度も、訴えますが、怒ったり、めんどくさがったりしないでください。
看病しているほうが、ノイローゼになるほど大変なことです。話題をそれとなく変えたり、楽しい思い出を話してください。足腰が冷えやすいですから、冷えないように注意してください。お風呂でシャワーを下腹に当て、温めてください。精神的に落ち着いてきます。また、寝つきも良くなります。
鍼灸治療
00さん、 男性 34歳 初診 平成17年3月14日
高校を卒業してすぐに自衛隊に入った。4年間訓練を受けるが、ある時、上官にひどく殴られてノイローゼになり、それから徐々にひどくなってとうとう精神障害となり除隊する。入退院を繰り返しながら、調子が良い時はアルバイトをしていた。最近は調子が悪く、この1年間入院していたが昨日退院してきた。まだよく寝られなくて昨日は3時間しか寝ていない。寝つきが悪いし、すぐ目が覚める。前頭部がボーっとして頭がすっきりしない。何とかならないでしょうかといって来院する。
診察
精神障害と言うだけあって、心経、脾経がひどく虚していた。その反対に肝経に実があった。前頭部がボーっとしてすっきりしないのはこの肝実を取ってやるとすっきりすると思われる。さらに肝実が無くなると、相克関係にある脾経が元気になり、寝つきも良くなると推測した。
治療
本治法
脾腎相克で商丘、霊道、復溜を知熱灸で補う。
標治法
肝経に変動があり精神病患者の特徴として虚、実同時に反応がある。このため躁と鬱が交互に来る。治療のポイントは胸椎8,9、番の正中線上にある凝りに対して接触鍼をして、まず実を取り除いてやる。その後、知熱灸をして補うと非常に効果がある。やる気が出る、頭のボーつとするのがなくなる、不安感がなくなる。
眠れないと言う症状も共通するもので、これに対しては太椎と胸椎1番の正中線上に懲りがあり、これを取り除いてやる。ここも虚、実同時の反応がある。まずそこに、接触鍼をして実を取り除いてやる。次に知熱灸をして補っておく。このような治療をしておくと、うそのように良く眠れるようになる。心臓のドキドキする感じがなくなる、お腹の補法 脾腎の虚が強いので、腹部の知熱灸は欠かせない。水分、神闕、陰交、に知熱灸ここは寝つきが良くなる作用がある。気海、石門、関元、中極、ここは精神安定、不安感の除去に効果がある。
2回目
昨日は8時間寝られたと言って来院する。しかしまだ頭はボーっとしている。1回目と同じ治療をする。
経過
その後、10回ほどの治療で良く眠れるようになった。精神的にも安定する。しかし10年間も薬を飲み続けている為、10日ぐらいすると又不安定になる。薬を辞めないと本格的な完治はできないよと話すのだが、本人はクスリが無ければ生きていけないと信じ込んでいる。やむなく、クスリを認めているが、クスリを飲んでいては、完全な治癒にはいたらない。何日かすると、病状が出てくる。そのたびに治療に来ているが最近は調子が良く、1ヶ月に1回くらいの治療で元気に活躍している。