産後の躁鬱病 2008.03.22
原因
身体の弱い人や高齢出産の婦人に多い、出産後、子宮が傷んでおりその回復期に無理をしたり、風邪を引いたり、精神的なダメージを受けたり、冷やしたり、セックスしたり、するのが原因で発病する。
産後、3ヶ月めの35歳になる主婦、ひどく弱々しそうな感じで、いろいろな訴えを次から次へと並べ立てる。こんなときにはめんどくさがらずに気の済むまで聞く事が大切である。自分の心の中にある物を全部取ってもらいたい願いがあるのです。この婦人は下記のような訴えをしていた。
「いらいらする、食欲がなくなる、自分で赤ん坊を殺すのではないかと思う、つまらない事でも考え出したら止まらない、拉致されるのではないかと不安になる。眠れない、心配になる、気分が落ち込む、やる気が起きない、台所仕事ができない、買い物に出かけられない、人に監視されているようなきがする」
ちょっと話はそれるが、この奥さん、長男が中学校3年生になる。長男はアトピー性皮膚炎がひどく、顔がぼこぼこに腫れ上がっていた。奥さんを治療しているときに、長男の皮膚炎がなんとかならないものか相談を受けた。アトピー性皮膚炎というのは、肉や脂っこい食事をしていると、肝臓の解毒作用が追いつかなくなり、皮膚に毒素を排出して体内環境を正常に保つ働きを身体がしているのです。肉類、卵、牛乳、油物を止めれば治りますよ、と教えておいた。1ヶ月間しっかり食事管理をしたところ、皮膚炎が驚くほど良くなった。
そこで奥さんはもうそろそろよいだろうと思って、弁当に肉のおかずを入れて持たせた。長男が帰ってきて言うには、もう肉類は止めてくれ、昼から顔が痒くなって勉強ができなかったじゃあないか,と叱られた。
子供に叱られては肉類をおかずにすることはできない。ところが、お父さんは85キロも体重がある。お腹はでっぷりと肥ってとても目立っているのだが、子供が肉を食べなくなっては、自分だけ食べるわけにも行かない。大好きな肉と油物をがまんして2ヶ月が過ぎたころ、ズボンがスカスカになっていることに気が付いた。お腹がへこんできたのだ。
体重計に乗ってみたら6キログラムも減っていた。肉と油物を食べなかっただけでお腹が大変スッキリしたと喜んでいた。さて、ここで奥さんの話に戻るが、家族が肉類中心の食生活をしているということは当然奥さんも、毎日肉を食べている。肉や油物はカロリーが高く、内臓に負担をかける。産後で体力が落ちているときに、肉類中心の食事が内臓に負担をかけて、最悪の体内環境になっていた。そこへ冬の寒さ、赤ん坊の世話、家事仕事、世間との付き合い、などが重なってが産後うつという症状に発展したのではないかと思われる。
治療
※本治法は脾腎相克で、商丘、霊道、復溜を知熱灸で補う。
※眠れないというので 太椎と胸椎1番の正中線上にある凝りに対して接触鍼をして実をとり、その後、知熱灸で補っておいた。
※やる気が出ない、気分が落ち込むなどには、胸椎8,9、番の正中線上にある凝りに対して接触鍼をして実を取り除きその後、知熱灸で補っておいた。
※寝つきが悪い、食欲が無いというので、お腹の水分、神闕、陰交、に知熱灸をして補った。
※不安感、心配になる、気分が落ち込むなどの症状があるので、気海、石門、関元、中極、に知熱灸をして補っておくいた。
※吐き気、匂いが気になる、イライラするなどの 症状があるので、胸椎6,7、番の正中線上にある凝りに対して接触鍼をして実を取り、その後、知熱灸をして補っておいた。
経過
週に3回の治療で2ヶ月治療した。食欲、睡眠、不安感、その他の症状すべて完治する。現在は完治してから1年になるが全く、うつの症状は出てこない。