臨床例

学生、足のむくみ 2017.06.17

 

学生、足のむくみ  丸亀店 高松店

 

臨床例  女性  14歳  学生、足のむくみ

 

 

 部活で吹奏楽部に入っており、フルートを吹いている。部活で練習した後には必ず足がむくんで困るという症状であった。普段は何ともない、練習の後だけ足がむくむという。放課後2時間~3時間、練習をする。

 

診察

 

 14歳といえば元気な盛りだ。こんな若い子が足にむくみが出るとはどういうことか?一瞬、理解に苦しんだ。足のむくみといっても中高年のむくみとは違うのではないかと判断する。

 

 練習をすると、足がむくむという事だから虚の症状だろうと判断して、手足を比較して一番虚の経絡を探した。足背の3-1Kに虚の反応があった。そこからウエーブで背中に飛び背の3-1Kにたどり着いた。

 

 ここではっと気が付いた。背3-1Kは胸椎4番5番の位置にあり、その中心には身柱穴がある。深谷伊三郎は幼児期から15歳までは、この身柱穴は非常に大切な穴だから、ほとんどの子供には据えていると言っている。

 

 胸には胸腺という免疫細胞を造る臓器がある。この胸腺、幼児期から15歳まではドンドン発達するが、15歳で発達は止まる。その機能は思春期が最大で青年、中年、老齢期とダンダン縮小していく。

 

 胸腺は免疫系の中枢を司る、Tリンパ球という免疫細胞を造っている。あらゆる病原菌、癌細胞、などの異物だけを攻撃して破壊する、とても優れた免疫細胞なのだ。

 

 そのTリンパ球は胸腺で育てられ、1人前の免疫細胞に育ってゆく。赤ん坊は何でも口の中に入れてしゃぶる習性がある。お母さんが汚いから止めなさいと言っても聞かない。その時にあらゆる細菌が入り、それを教材としてTリンパ球は免疫能力を高めて育ってゆく。

 

 その能力は思春期が最高で100だとすると、50歳代では60に縮小する。その後は10年で15%ずつ縮小する。癌の発症率は50歳代から急激に多くなり老人になると2人に1人は癌にかかっていると言われる。


 胸腺の50歳代からの急激な縮小と、癌の発症率が50歳代から急激に多くなるのと、ちょうど反比例していることを考えると、胸腺で作られるTリンパ球がいかに癌細胞を抑制していたかがわかる。

 

 身柱穴は胸腺の真裏に位置しており、胸腺の機能を補う上で、最も効果的な穴であると考えられる。胸腺の発達は幼児期から15歳までといわれている。身柱穴の効能も幼児期から15歳までが最も良いとされ、昔から子供の灸として重宝されていた。

 

 この14歳の学生はフルートの練習で胸の筋肉を使いすぎ、胸腺に負担が掛ったものと思われる。その挙句、練習後には必ず足にむくみが現れる現象が起こったと考えられる。

 

治療

 

 背3-1K(その中心が身柱穴)は虚の症状であるから、知熱灸を反応が無くなるまで据えた。身柱穴は背骨4椎と5椎の間にある。

 

治療後、身体全体が非常に楽になり、これならいくらでもフルートが吹けるような感覚になったと言って喜んだ。

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