臨床例

目の痛み 2010.07.26

目の痛み

 

 35歳 男性、筋骨たくましく、がっちりしたタイプ。

目の奥が痛くて、光がまぶしい。頭が痛くてこめかみまで痛くなる。腰痛と肩の痛みもある。今はとにかく目の痛みをどうにかしてもらいたい。といって来院した。

 

 目の奥の痛みを中心として、腰、肩、頭の痛みを訴えている。これらの症状は肝実の症状である。肝実というのは肝臓系統が異常興奮している状態のことで、肝臓が過敏になっていると考えてもよい。

 

 肝臓が過敏になると目に症状が現れることが多い。ぎっくり腰や、寝違いもこの系統に入る。この患者さんも腰痛と肩の痛みを訴えている。肝実を治してやると、すべての症状は良くなる。

 

 肝実の痛みは激しく、今すぐにでも何とかならないものかと患者さんは焦っている。しかし、このような痛みの場合は、鍼灸をすると案外スムーズに痛みはドンドンとれます。治るのも早く3回ぐらいの治療回数で完治することが多くあります。

 

 目の奥の痛みというのは緑内障の前兆で、この痛みがずーっと続くようでしたら、緑内障になります。緑内障と言えば大変な病気ですが、鍼灸ではとても簡単に治療できます。

 

 この患者さん姫路から転勤してきたばかりであった。姫路では鍼をしてもらっていたという。嫁のお父さんに聞いて、ここを紹介してもらいました。鍼がとても好きなんです。がっちりしたタイプの人は、鍼がよく合う。

 

  鍼灸治療をすると、今まで痛かった目の痛みがすっかりなくなった。腰痛もほとんどなく、自由に腰を動かすことができた。首から肩にかけての痛みも取れ、肩 が軽くなった。頭痛とこめかみの痛みはすっきりとして、今までの痛みはなんだったのだろうと不思議に思うぐらいになった。

 

 彼はよほど礼儀正しい性格らしく、丁寧に体を90度に折り曲げてお礼を何回も述べた。すっかり良くなった体で、明日から元気に仕事ができることがよほど嬉しかったのだろう。

 

 治療記録

 

本治法 脾腎相克 兪土穴を使う。左から太白、太陵。

            右から太谿、神門に知熱灸をして補う。

標治法 * 左右太衝穴に接触鍼をして肝実を取り除く。

        これで頭痛と目の奥の痛みが取れる。

     * 腰痛に対して胸椎8,9の正中線上に接触鍼をして 

        実を取り除き、その後、知熱灸をして補う。

     * 胸椎6,7の中間に1点、その両側3センチに2点、

       その3点間に接触鍼をして、実を取り除きその後、

       知熱灸をして補う。

       これも腰痛の治療として使った。

     * 首から肩にかけての痛みに対して、頚椎1,2番に

        接触鍼をして実を取り除き、その後知熱灸をして     

        補う。

     * 同じく頚椎3番に1点、その両側1センチに2点、こ

       の3点間に接触鍼をして実を取り除き、その後、知

       熱灸をして補う。

       頚椎の治療によって、首から肩にかけての痛みは

       すっかり無くなった。

     

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