首が曲がった子ども 2017.01.27
首が曲がった子供
7歳、男性、小学校1年生
学校で遊んでいた時の事だ、突然に首が痛くなってきた。痛くて、痛くて、泣き叫んでいる。先生も困り果て、お母さんを呼んで病院に連れて行ってもらった。
病院でいろいろ検査したが、どこも悪いところが見当たらない。とりあえずシップをして、鞭打ちで使う首のワッカを買わされて、それをまいて帰ってきた。
病院で治らないので困っていると、鍼灸の大好きなおばあちゃんが、鍼灸の先生のところへ行ったら治してくれるから、ぜひ行きなさい、といった。
7歳の子供が鍼や、お灸をさせるだろうか、母親は迷った。しかし、泣き叫ぶわが子をこのままにしては置けない。思い切って連れて来た。
治療室に入ってきた子供を見ると、左肩に耳がくっつくほど、首が曲がって泣き叫んでいる。
寝台の上に、上向きになって寝てください、と言ったが、子供は首が痛くて少しでも傾くと、とても痛がる。5分くらいかけて、やっとのことで寝ることが出来た。
診察をすると4つの経絡(身体の中を通っている、気の流れる通り道)が異常に興奮して、硬くなっている。これらの経絡に鍼をして、ゆるめてやると正常になると診断した。
治療する前に、子供に鍼の説明をした。「この鍼は皮膚の中に入れるのではなく、鍼先を皮膚に当てるだけだから、じっとしていたら痛くないよ」といって、鍼のやり方を説明した。
じっと聞いていた子供は納得したのか、「わかった」といった。2歳の子供でも騙すのではなく、ちゃんと説明して納得させると、何のことはない、スムーズに鍼灸をさせてもらえるのだ。
この子供は酷く暴れん坊だから、とても鍼灸なんかさせないものとばかり思い込んでいた母親は、子供の素直な態度にびっくりしていた。
鍼もお灸も子供の積極的な協力でスムーズに治療が出来た。お灸は知熱灸と言って、直接皮膚を焼くのではなく、皮膚から1,5cmくらい離して暖めるお灸なので、子供があくびをしたり、居眠りをするくらい気持ちの良いものである。
最初の3回は毎日治療した。次から1日おきに2回治療して、1週間、7回の治療で完治した。
子供は元気なもので、3回治療した時点で、かなり痛みがなくなったものだから、サッカーをした。また痛くなったが、4回目の治療で殆ど痛みがなくなったと言って、またサッカーをした。5回目の治療でほぼ全治となり、サッカーも解禁した。
治療経過
1回目
本治法 脾腎相克 左霊道、左商丘、右復溜、右間使、に知熱灸をする。
陽経の邪の処理 左支正、左豊隆、右飛陽、右外関に接触鍼をする。
標治法 右小腸経に実と虚の反応があり、右背の1-1Lに鍼して灸をする。
右膀胱経に実と虚の反応があり、右下腿陽の1-1Kに鍼して灸をする。
風邪引きの反応があったので、右の背中の3-1Kに灸をする。
2回目
本治法 前回と同じ
標治法 右の小腸経に実と虚の反応あり、右背の1-1Lに鍼して灸をする。
右の肝経に実と虚の反応あり、右腰1-4Lに鍼して灸をする。
3回目 本治法 前回と同じ
標治法 左に曲がっている首の治療として、左三焦経の前腕3-1Kに鍼灸する。
4回目 本治法 前回と同じ
標治法 左の小腸経に実と虚の反応あり、左背1-1Lに鍼して灸をする。
左膀胱経に実と虚の反応あり、左下腿陽1-1Kに鍼して灸をする。
5回目 本治法 心包経を使う、脾腎相克に変化
標治法 左肝経に実と虚の反応あり、左背中5-1Kに鍼して灸をする。
膀胱経に虚の反応あり、太椎に灸をすえる。