接触鍼と知熱灸 2020.04.27
接触鍼と知熱灸
当院では鍼はすべて接触鍼で対応しています。お灸はすべて知熱灸で対応しています。この強みは痛くない鍼。熱くないお灸、として赤ちゃんからお年寄りまで安心して治療を受けることが出来ます。
しかし、なぜ接触鍼で効くのか? 知熱灸で効くのか? について解説します。鍼は刺さなければ効かないと思っている人が圧倒的に多くいます。鍼は刺すことによってなぜ効くのか?と言う疑問を持ったことはありませんか。
鍼と言うのは刺すことによって気を漏らす作用があります。過敏反応を起こしている患部には気が異常に集まる場所が有り、そこに病状があるのです。このように気が集まり過ぎて過敏反応を起こしている患部に鍼をします。
鍼を刺すことによって皮膚に小さな穴が開き、そこから気が漏れるのです。鍼を刺して抜き差しや回転をすると、気の漏れが多くなり速やかに痛みや引きつり圧痛などが解消されるのです。これが鍼の効果です。
ただ、痛い鍼や、抜き差し、回転を多くし過ぎて、気の漏れをいたずらに多くして生気までを抜いてしまうと、その場は治ったようになりますが、翌日かえって痛くなることも有ります。
接触鍼は鍼を刺しません。ただ、鍼先を使い皮膚表面を擦ります。非常に軽く擦るだけですが、皮膚表面からは確実に気が漏れているのです。ただ、1回や2回擦るだけではありません。
普通35回ぐらい擦ります。多い時には60回ぐらい擦る時もあります。何回擦ると実の反応が無くなるのか? 時々、提鍼で実の反応を観察しながら、接触鍼の回数を決めています。
この観察によって、無駄な気の漏れを防げるし、的確な接触回数が決まるのです。鍼は刺さなければ効かないと言う規則は無いのです。要するに実の患部に集まり過ぎている気の塊を取り除くため、必要最低限の気を漏らす、接触鍼をすることが治療につながるのです。
また、過敏反応を起こしている患部といえども、身体の弱みを防ぐために過敏反応を構築している患部もあります。胃酸過多などの時、背の5-1Kという治療点は弱りがあり、生体がそれをカバーする為、過敏反応を構築して実の反応を起こしているのです。
このような患部は実と虚の反応が同時に同居しています。この場合には表面に有る実の反応を接触鍼で取り除いた後で、残っている虚の反応に対して知熱灸をして補ってやります。これにより実も虚の反応も無くなり、胃酸過多が治るのです。
鍼を刺して効果を上げる為、竜頭を弾くことをするのも、鍼を刺した穴から気が漏れるのを促進する為です。抜き差し、回旋、でも気が漏れます。置鍼は気が最初は少し漏れますが置鍼する事によって、気が集まり補法の効果もあり、コリの解消に使っている所もあります。
また、置鍼してその上から温熱光線で温めてやると補法の効果が倍増して、その部分を補う事になります。灸頭鍼や置鍼の上に温熱マップを載せて補っている治療院もあります。
置鍼の漏らす効果と、温熱による補法効果で、患部のコリを取り除く作用があります。いずれにしても虚実をわきまえ、虚には補法、実には瀉法、虚実同時の患部には鍼をしてから補法をするなど的確に治療することが大切になります。
当院の治療は患部から離れたところを治療点として扱う為、患部によく見られるコリや圧痛などの症状はありません。しかし、そこから患部を狙うと実によく効くのです。生理痛に太衝穴を使うようなものです。
圧痛、コリ、引きつり、鈍痛、などの患部は、患部として虚実の反応を診る為、提鍼で検査しますが、その症状が何処から来ているかを探して治療点を割り出し、その治療点を使っていますから、接触鍼で対処しても効果が上がるのです。
知熱灸の効果
当院では直接灸はしません。すべて知熱灸で対処しています。皮膚表面から1,5センチ離れた所から棒灸で患部を温めます。患者さんが熱いと感じるまで温めて、熱過ぎると感じた時に(ハイ)と返事をしてもらいます。
その返事によって、棒灸を次の治療点に移すのです。我慢する程の熱さでもありませんから、直接灸と比べるとその熱さは雲泥の差が有ります。では、お灸がなぜ効果があるのかを解説します。
お灸と言うのは熱さに効果があるのです。皮膚表面を炙ると当然、熱くなります。そこで熱過ぎると思うくらい熱してやると、皮膚表面のたんぱく質がほんの少し変性するのです。
その変性を回復させる為、気が集まってきて修復するのです。わずかな変性ですからその修復は2日ほどで回復します。そのわずか2日間ですが、気が集まって治療ポイントの虚(弱り)が改善されるのです。
ピンポイントで治療点を決定していますから、知熱灸という炙るだけの治療でも効果を発揮するのです。以前は直接灸をしていましたが、現代では直接灸をすると患者さんが来なくなります。熱いし我慢する人はいません。
知熱灸に変えてから、赤ちゃんから若者、婦人層、老人まで、だれでも気軽に治療に来るようになりました。痛くない接触鍼、熱くない知熱灸、これが当院の看板として活躍しています。