鍼治療の実技 2008.05.14
鍼治療の実技
普門堂の鍼は100%接蝕鍼にて対応しています。鍼は刺すものという考え方が鍼灸師の中では常識のようになっています。しかし気の流れを調整するという考え方からすると接蝕鍼で充分だと考えています。鍼を深く刺すやり方を否定するものではありませんが普門堂では、深くは刺しません。神経は皮膚表面に最も多く分布しています。鍼は刺す時、皮膚表面で最も痛く感じますが、中に入るとほとんど痛みは感じません。これは
内部では神経の分布が少ない証拠であります。皮膚表面での接触鍼は最も気の流れを促す鍼として効果があると考えられます。接触鍼ですから全く痛みは無く、しかも効果抜群です。接触鍼と言っても全く刺していない訳ではありません。1ミリの何分の一かは接触するだけで入っているのです。普門堂では必ず意味のあるツボのみに鍼をします。あまり意味も無いのにやたらに多く鍼を刺すようなことは決していたしません。100%意味のある穴を使います。その為にも虚実の判定には真剣です。
たとえば胃経に実があり、歯が痛いとします。このとき胃経のどこに鍼を刺すか,提鍼を使って確実な穴を探しますそのため鍼は1箇所、刺すだけです。
接触鍼のやり方(瀉法)
* 提鍼とマグレバンを使って、脈を診ながら実のある部位を探します。
* 部位が見つかったらそこに左手を開いて乗せます。
* 手は開いた状態から、人差し指と、親指で丸く円を作り、押し手を作ります。
* 押し手の指先を少し開き、鍼先を皮膚に接触させる。そこで押し手を締めます。 上の写真は接触鍼の状態です。
* 押し手の上面を閉め、下面は広げておきます。
* 押し手は皮膚にそっと当たるぐらいにして、決して下へ押し付けないで下さい。
* 押し手の左右圧は軽くして、指先の色が白く変らない程度にして下さい。
* 心に丸い円を描く気持ちで、落ち着き、平らな気持ちで鍼を接触します。
* 接触した鍼はもうそれ以上は深く刺しません。鍼を刺すという気持ちはなくしてください。鍼は当てただけでも左右圧を加えると、1ミリの5ぶんの1くらいは入っているのです。
* 子供とか脉の早い人には鍼が当たったら左右圧を閉め、すぐに抜きます。
* 懲りの酷い人や脈の遅い人には、鍼を当てる秒数を長く(約3秒)します。
* 鍼を抜くと同時に押し手で鍼口をふたします。
下の写真は親指で皮膚面にふたをした状態です。* ふたをするのは押し手の親指で鍼口を閉じます。
* 刺し手で抜く事に意識を集中してふたをするのは抜いた瞬間、自然にふたします。
気とは空気のようなもので、大きく膨らんだ風船の中に鍼を刺して抜き差しすると気はいくらでも漏れてしまいます。それでは気力が落ちてしまって治療にはつながりません。生気を漏らさないように、しかも邪気だけは取るようにします。その為には、鍼は接触するだけです。しかも抜くと同時にふたをして、気を漏らさないことが大切です。