東洋医学の中に奇経治療と言う治療法があります。12のツボだけであらゆる病気に対応すると言うのですから、まさに特別な治療法です。身体の中には血液やリンパの流れの他に気の流れがあります。この気は正経12脈と言う系統の中を正常な場合は整然と流れているのですが、いざ病気となると、病気の系統から病気が溢れ出してそのあたり一面が病気の状態になる事があります。
これが奇経病症といって患者は大変な思いをします。
少ない治療穴で大きな効果
ところがこの奇経治療の特徴は、顔面の病を例に取ると、目ぼつ、おでき、口内炎、歯の痛み,鼻ズマリ、目の痛み、顔面痙攣など、顔面に出てくる病には合谷-陥谷という顔面専門のツボだけで全部に効くのです。
これは病気が経絡の中で居る間は良いのですが酷くなって、病気が経絡から溢れ出して顔面全体を洪水のように覆いつくした時に奇経治療が効果を発揮します。
便利な奇経治療
奇経の穴と言うのは病気が顔面に溢れている時、それを効果的に排除する、排水路のような役目をしているのです。例えば、歯の痛みがひどくなって顔面全体でドキンドキンと脈打つような痛みがある時、手の合谷という穴と、足にある陥谷という穴に鍼や灸をすると、5分くらいで痛みがスーッと引いてくるのが分かるのです。ちょうど、顔面一杯になっている痛みを、合谷―陥谷という穴から外へ排出している感じになります。このように便利な治療法が東洋医学の中にはあるのです。口内炎が酷く、全く食事が出来ないで困っている人に対しても、同じ合谷―陥谷の穴に鍼灸をして5分ほど置いておくと痛みがスーッと引いてゆくのです。おできでも、目の痛みでも、顔面の病で、奇経反応がある病気であればどの病気でも効きます。あまりに便利で、効果絶大なので、奇経治療と名付けたのかもしれません。
臨床例
一番判りやすいのが寝違いです。朝起きたら肩や首が痛くて、首が回らなくなる病気です。治療室で掃除をしていると、痛い、痛い、と呻きながら入って来た女の人が居ました。昨日から肩首の調子がおかしいなと思っていたのですが、朝起きてみると、もう痛くて少しも動かすことが出来ないのですと、しかめ面をしている。寝台に寝てくださいと言って寝かしたが、首が痛くて枕に頭を乗せることがどうしても出来ない、寝るだけで10分も掛かってしまった。このような酷い痛みのある患者さんに 後渓―申脉、 外関―臨泣、という穴に鍼を刺してその上から知熱灸をすえながら、10分間ほど置いておくと、だんだん緊張がほぐれて痛みが取れてしまった。首や肩を盛んに動かして、どうしてこんなに早く痛みが取れたのか、不思議そうにしていた。この患者さん、その後3回の治療で全快している。
鍼灸の中にも治療法の種類がある
鍼灸と一口に言っていますが、鍼灸の中にもいろいろな治療法があります。それぞれの特徴を良く掴んで、その病気に合った治療法を施すと、とても良くなるのです。
中国3,000年の歴史の中で、鍼灸、漢方、あん摩が唯一の治療法であった時代には、皇帝から庶民まで、総ての人間がこれに頼っていました。その時代に多くの治療家が研究に研究を重ねて編み出した治療法の一つが奇経治療なのです。
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