若い人の胃腸病は1年も2年も苦しんで、何処へ行っても治らないというのが案外あっけなく治ることがよくある。検査しても、少し胃が荒れている程度で何処も悪くないと医者に言われる。本人は苦しくて、どうしょうもないのになぜだろうと、あらゆる努力をしているが、症状は一向に回復しない。そのうち、自分は身体が弱いのだ、先祖からの遺伝かもしれないと思ってあきらめている人もいる。
症例
先日のことだが、Kという35歳になる主婦が、油濃いものを食べると胃が痛くなる。常に背中が痛くて、主人に押して貰うけど、その時だけ楽になるが、すぐまた同じようになる。下痢しやすく、疲れ易い、偏頭痛もある。1年前にインフルエンザのひどいのに罹って、それが治ってから、このような症状が出てきたと訴えた。この人の母親が左膝の痛みでビッコを引きながらやってきたのだが、鍼灸をして、ずいぶん楽になったからお前も行ってみなさい、と進められてやってきたという。
原因
風邪は万病の元と言われるように、こんな病気にまでと思われるものまでその元は、風邪引きだったりするのです。この主婦の場合、1年前の風邪が原因で、風邪が治った後の後遺症として、肩甲骨の高さで、背骨の両側に、こびりつくような凝りが現われた。
ここから神経が背骨の間を通って肋骨に沿って伸びており、腹に達して、胃腸に分布している。神経の出口である、背骨のところで、こびりつくような凝りがあるため、その懲りに邪魔されて、胃腸に行っている神経は常に異常興奮している状態になっている。油濃いものや、刺激せいのものを食べると神経が過剰に反応して、胃酸が出過ぎる、そのため自分の胃酸により胃が傷ついて痛くなるのです。
治療
こういうのは鍼がとてもよく効きます。若くて体力があり、病気が過敏に強く出ているものは、病気は苦しいけど、ポイントの凝りを取り除けば治りも早いのです。
治療は、肩甲骨の高さにある背骨の両側を押さえてみると、背骨の際にこびりつくような凝りがあるのでその凝り1つ1つに丁寧な鍼をした。手で触って、凝りがなくなったのを確認してから、患者に背中の曲げ伸ばしをさせてみた。うそみたいに軽くなっているという、背中の凝りが取れたら偏頭痛も楽になったと喜んだ。2日後にもう1度来院。同じような治療をした。それですっかり気分が良くなって、胃の不快感は全く感じなくなったと言った。
経過
1週間後に、息子が自分と同じような症状だから先生お願いしますと言って連れてきた。「奥さんはどうですか」聞くと、「私はすごく快調なんですよ、胃の不快感は全くなくなったし、背中の凝りも感じない、食欲も出てきて、日常の活動もどんどん出来る様になりました」といって、とても喜んでいた。
考察
1年間も苦しんだ胃腸病が,こんな簡単に治るのかと思われる方もいるかと思いますが、もともと健康な人の病気と、身体が弱って慢性病になっている人の病気ではその成り立ちが根本から違っています。
3000年の歴史を持つ鍼灸は、病気によっては、本当に驚くほどの効果があるのです。
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[施術時間]
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