82歳になる女性が右目から涙をぼろぼろこぼしながらやって来た。目が痛くて昨夜は一睡も出来なかったと言う。この女性82歳だと言うのに自動車は乗るし、まだ現役で清掃作業員の仕事をしていた。
しかし、さすがに寄る年波で仕事がつらくなってきたので辞める事にした。仕事を辞めるにしても、残りの仕事は全部きれいに片付けて辞めて行きたい。
馬鹿正直で生真面目な性格から2週間ほどは時間外でも仕事をした。そして円満に退職した。会社の方からも感謝されて記念品まで貰らった。そこまでは良かったのだが、辞めたとたんに身体の方が悪くなり、このようになりましたと言って来院したのだった。
診察
この女性は風邪を引いていた、肝臓の系統がひどく弱っており、その反動として胆嚢の系統が高ぶっていた、その影響で痛みが出ていたのだろう。
風邪を引いてウイルスが体内に入り込むと、それに対抗して対外に排出する仕事は肝臓系統が中心となって大活躍するのです。その時に仕事が忙しくて休む暇がなく無理をして働き続けると、風邪をこじらせると共に、肝機能が弱ってくる事がある。
肝臓系統は目と深い関係があり目も弱ってくるのです。弱り目に祟り目と言って、、弱っている目に胆嚢系統の高ぶりが乗りかかってきて目の痛みとなるのです。このように内臓系統が弱っていてしかも82歳の高齢になると生命力のが衰えているので簡単には治らない、そのことを患者に伝えてしっかりと治療する事を約束してもらった。
治療
風邪ひきの治療をすると共に胆嚢系統の昂りを鍼で治療した。うそみたいに痛みが軽くなったと喜んで帰っていった。2日後、来院して言うには、「もう治ったかと思って1日来なかったら昨夜また疼き出しました。
やっぱり続けて来なければいけませんね」と言って寝台の上にあがった。この痛みをとるのに5回ほど手足に鍼をした。
「先生やっと痛みはなくなったけど、右目がぼーっとしているのが取れない」と言う。 肝臓系統が弱っていると、こめかみ近辺に違和感があり目がボーっとする事が良くある。この治療をするのに右目に対してお腹のみぞおちから左へ6センチぐらい寄った所に期門と言う穴がある。ここは肝臓系統を治す特効穴で、この穴に温灸をして活力を付けてやるような治療をした。
しかし前にも書いたように82歳にもなるとそう簡単には良くならない。
治療をするとその場で目がすっきりして目の前がはっきりと見えるようになる。しかし次の日はまたぼーっとしてくる。この繰り返しでそれから毎日(日曜日を除いて)8回治療をした、それでどうにか良くなった。
予後
よくなってくると持ち前の働き癖が出てきて、家の近所に草が生えて汚くなっているのが気になって仕方がない、自分の家から左右100メートルづつ、合計200メートルの道路ぶちをきれいに除草した。
やれやれ終わったと思った翌日、又、目がボーットしてきましたと言って来院する。このおばあちゃんの肝臓は悪くはなっていないが弱っているのです。悪くなっているのと、弱っているのとは全く別で大事に使えば、それなりに元気で長生きできます。このことをおばあちゃんに話して、人生楽しく、長生きするよう説明した。
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[施術時間]
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