母乳が出ない
母乳が出ないお母さんが、時々います。子供に免疫力を付ける為、1歳になるまでは何とか母乳で育てたい願望があるにもかかわらず、充分な母乳が出ないのです。
東洋医学では母乳など、栄養に関するものは、胃経という、体の中を通っている道の弱りと考えます。胃経が弱いと充分な量が母乳として出てこなくなります。
足三里という有名な穴が足にあるのですが、ここは食物が少ない昔は、旅をする人は必ず、ここにお灸をすえて旅をしました。少ない食物を徹底的に吸収して、旅人を助けたのです。
それほど栄養補給のつぼとしては、有効な活躍をする穴です。食欲不振、病気がちな人、太れない人、などにもよく効きます。
臨床例
3カ月の赤ちゃんを持つお母さん、29歳。母乳が出るには出るのだが、赤ちゃんが満足する量には、はるかに及ばない。
何とかなりませんかと、鍼灸院にやってきた。体格良好で、おっぱいが不足するような身体には見えない。食欲も充分にあるが、食べると太る方に栄養が回って、おっぱいとしては出ないという。
胃経という筋道は、顔面から、喉を通って、胸に入り乳首を通って、腹に入り、胃をめぐって、足のスネにある足三里穴から、足先まで通っている。
このような道筋を通っている関係上、足三里のお灸は、胃を活発にして、母乳を量産し、乳首から母乳として供給する理想的な穴と言えます。
このお母さんに足三里を中心として、その他の有効な穴にもお灸をした。お灸をした日から、赤ちゃんが飲みきれないほどの母乳が出た。
充分に母乳が出たのは、最初の1日だけで、次の日からまた量が減ってきた。3日後にもう一度、お灸をすると、今度は3日間充分に出た。3回目からは、お灸をしたら、1週間は持つようになった。
その後、周一回のお灸で5回やったところ、充分な母乳が安定的に出てくるようになったので、その時点でお灸を辞めた。
ところが三週間を過ぎたころまた、母乳の出が悪くなってきた。赤ちゃんは大きくなるし、母乳の量も、もっと増やしたいからと言って、近頃では毎週一回通ってきている。
毎週一回、お灸をすることによって、安定的な母乳が出るようになってきた。お母さん大満足で、毎週通ってきている。
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