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鍼灸おもしろ日記

胃の痛み

 

 女性、38歳 主婦。 3回の治療で完治


3週間前から、胃の右側が痛くなりだした。押さえても痛いし、じっとしていても常に痛みを感じる。お医者さんに行って検査してもらったのだが、胃が少し荒れている程度で、これといって大きな症状はない。

 

痛み止めをくれたが、かえって胃の症状が良くならない。副作用も心配になり、薬の服用は中止した。

 

このような胃の痛みは、以外と治らないものである。何十年も胃痛で悩まされている人もいる。胃酸が多く出る人の場合は、市販の太田胃酸を常備薬として飲み続けている人もいる。

 

胃の痛みは冬から春のなる時とか、夏が終わり秋になる時に、よく起こる。冬は食欲旺盛で、胃の疲れが春の木の芽どきに発病する。夏は暑さで冷たい物の飲みすぎが、秋になって消化器の疲れがどっと出て発病する。

 

胃潰瘍と間違えられることが多いが、胃のほうは少し荒れている程度で、案外健康である。痛みや胃酸過多の症状が出やすい。

 

 鍼灸では、背中に治療点を求める事が多い。背中の胸椎8番9番あたりを治療する。ここの脊椎の間から、肋間神経というのが出ていて、背中からぐるりと脇腹を通り、胃のほうに分布している。

 

 実は胃が悪いのではなく、背中の筋肉が炎症を起こし、肋間神経が圧迫されて、胃のほうに分布している神経が痛みを発しているのだ。

 

 もともとは、過食や冷たい物の飲みすぎで、胃を酷使していると、胃に分布している肋間神経を通して、背中の筋肉に負担をかけている状態が続いている。このような人の場合、季節の変わり目などに背中に炎症を起こすことが多い。

 

 この炎症はアレルギーのようなもので、一旦なると、なかなか良くならないことが多い。前にも書いたように、人によっては何十年も胃痛に悩まされており、本人は自病だと諦めている人もいる。


 鍼灸治療ではこのような胃痛が、手品でもかけられたかのように、3~4回の治療で治ってしまう。ただし、きちっと背中にある炎症部分を特定できる鍼灸師でないと治らない。

 

 今回来院した女性は、3回の治療で完治している。実際は2回の治療で痛みは完全に取れてしまったのだが、念のためもう一度来てもらって、しっかり治っているか確認したのである。

 

 ここで臨床治療を記す。

 

本治法 脾腎相克 右から太白、太陵、左から太谿、太淵に知熱灸をして補う。

 

標治法 三陰交、神門、陰谷、太椎、に知熱灸。

 

治療目標 肝実があり、この肝実を取るのが目標となる。右足の拇指に実の反応あり、ここからウエーブで背中に飛び、胸椎8番、9番の左脊際に治療点を求める。接触鍼で実の反応を取り除き、その後、知熱灸をして補う。

 

 上記の治療を3回行って完治した。

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