原因
鍼灸治療でここに紹介した患者さんは先天性の心臓疾患を持っています。先天性の心臓疾患だから治らないと決め付けてはいけません。よく観察するとそのような患者さんでも体調の良いときにはなんともない日があるし、体調の悪い日は寝ていても苦しい時もあります。ということは心臓に負担をかけている、肩こり、歯の痛み、耳の下が痛い、首のこり、などが原因しているのです。それら周辺の疾患を取り除くと心臓は大変楽になります。
さらに日頃の食生活において、肉類、脂っこい食物、間食、夜食などしないようにすることです。これらの食事の負担が、肩こり、歯の痛み、などに発展するのです。運動は心臓病の患者さんであっても、自分にあった運動量を決めて毎日することです。食事、運動、睡眠、精神的な安定、などが健康の基本ですから守りましょう。
鍼灸治療
〇〇さん 男性 47歳 初診平成17年2月7日
肩こり、歯の痛みで治療に来た。奥さんが時々来院することがあったので、旦那の歯の傷みも取れないかといって連れてくる。歯の痛みは慢性的なもので時々痛くなる。肩こり首の痛みが何時もあり、とてもつらいと言う。そんな話をしているうち実は先天性の心臓疾患があり困っているのですと言う。心臓に穴が開いており、穴の位置が悪くて手術も出来ないので医者からは一生治らないと言われた。ひどい時には立ち上がれないほどになる。
診察してみると、肩こりは比較的簡単に取れる経絡の反応があった。しかし心臓の方は先天性というだけあって、心経と言う経絡にとても弱い反応があり、心臓が弱いことを裏付けていた。歯は慢性的な歯槽膿漏であるが、肩、首のこりを取ってやり心臓の弱りを改善すれば良くなると思われる。肩こり、首の痛み、歯の痛みは3~5回の治療で良くなると思うが、心臓の方は日常生活の中でも良い日と悪い日があるという話をして、食生活の改善、運動など基本的な生活をするよう指導した。
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本治法
脾腎相克で心経の神門穴を使い補う。
標治法
左臨泣ー右外関 左後谿ー右申脈に皮内鍼をつけてその上から知熱灸をすえる、8壮づつ。これは肩こり、首の痛みをとるため。胸郷穴、これは心臓を強めるために補う左足の三里穴これは歯の痛みをとるために弱っていたので補う。左足の然谷穴これは耳の下が痛いというので冷えが入ったと見て補う。神闕穴これは脾経を補うために使う石門穴、関元穴、中極穴は腎経を補うために使う。太椎穴と胸椎1,2,3の右脊際、肺経を補うために使う。
経過
治療が終わると、肩こり、首の痛みがすごく良くなったと喜ぶ、歯の痛みも無くなっている、耳の下も痛くない、どうして足のほうにお灸をして歯の痛みや耳の下の痛みが取れるのですかと不思議がっていた。心臓も気のせいかとても楽なように思える。
2月8日来院肩首のこりと左歯の痛みはずいぶん良くなった。まだ肩首のこりが少しあるのと、右歯の痛みを取って下さい。心臓はずいぶん楽でした。それから歯の痛みは無くなったのですが浮いている感じがあるので治してください、という。
6回の治療でほぼ完治した。若い人の場合は生命力か強いので適切な治療をすると治りが非常に早い
※臨時休診日はお知らせをご覧ください。
[施術時間]
丸亀本院: AM8:30~12:00/PM2:00~7:00
高松院: AM9:00~12:00/PM2:00~7:00