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臨床例

まぶたのけいれん


 何の前触れもなく、まぶたがピクピクと痙攣する事がある。別にほっておいてもかまわないのだが、顔面だけに気になって仕方がない。

 

 これが厄介な事に一度なりだしたら、数日は続く。大切な商談や、真剣に物事を考えている時に限って余計ピクピクする。

 

 まぶたの痙攣も虚性の痙攣と実性の痙攣がある。虚性の 痙攣はその部分が弱って出てきているものである。実性の痙攣はピクピクというより、顔全体が引きつるように大きな痙攣がおきる。数は少ない。

 

 虚性の痙攣はほとんどの人が一度は経験した事があるほど頻繁に起きる。目の疲れの延長線上にある症状の一種だ。

 

 62歳の男性、5日前より右まぶたがピクピク痙攣して邪魔になって仕方がない。商談をしている時も、相手は何にも思っていないらしいが、こちらはまぶたがピクピクするので気になって仕方がない。

 

 大したことはないので、ほっておいたが、あまりにも長く続くので鍼灸院に治療に来たという。

 

 この病気は、過食する人や、間食の多い人がなりやすい、肝臓系統が疲れてくると、目に症状が出てくる事が多い。

 

 鍼灸治療では特効穴と言って、症状によって特別によく効く穴がある。まぶたの痙攣も特効穴がある。

 

 手の平には、指先から、第一関節、第二関節、第三関節、と横に線が入っている。手の平で、人差し指の第三関節、横線が親指側に尽きるところが特効穴である。

 

 赤白肉と言って手の平と手の甲との境目が、白と赤の境目になっていることから、赤白肉という場所になっている。特効穴は人差し指の第三関節、横線の親指側に尽きるところで、赤白肉の境目にある。名前は三間穴という。

 

 普通は右のまぶたの痙攣に対して、左三間穴に治療するのだが、今回は両方の三間穴を治療した。

 

 知熱灸と言って、棒灸に火をつけて、1センチぐらい近づける。その熱によって熱くなると放す。これを5回、繰り返すと、お灸を5壮据えたことになる。

 

 棒灸のない人は、タバコに火をつけて、1センチぐらい近づけて、熱くなったら放し、少し冷やしてから、これを5回、繰り返すとよい。

 

 治療に来た男性は、その場ですっかり治ってしまった。先生、不思議ですね、こんなところで、まぶたの痙攣がなおるのですねえ!!

 

 鍼灸では遠く離れた所から治療して治す、特効穴が多くあってね。私も沢山の特効穴を使っているのです。

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