看護疲れからうつ病
女性、65歳、
最愛の主人が癌を患った。必死の看病で良くなったり、悪くなったりだったが、徐々に癌は大きくなり、3年後にとうとう見送ることになった。
死ぬ前、3カ月というものは痛い痛いの連続、病院で泊りこみの看病、夜、何回も起こされる。看護婦の巡回が2時間おきにあり、ここでも起こされる。
とても安眠できない、息子夫婦が手伝ってくれるが、やはり主力は妻の看護である。主人も妻が居ないと不機嫌になる。
そんな状態であるから、無理を承知で頑張った。今にも倒れそうなのだが、主人と一緒に死ねるのなら、その方が良いと思った。
刻々と近づく死期、最愛の夫を取られる不安、医者からは、あと何日しか持たないと告げられる。苦しみもだえる夫。どうする事も出来ない自分。
そんな中で心身ともに虚脱状態になってしまった。主人の死後、食欲不振、不眠症、動悸、不安感、イライラ、気持ちの落ち込みが続く。
毎日死ぬことばかり考えるようになった。息子夫婦は心配して泊まり込みで来てくれるのだが、症状は一向に良くならない。
この奥さんは、元気な人であったが、極度の過労と心配事が続いたのが原因で、うつ症状を発したものである。
主人の死後、3カ月目に鍼灸治療で何とかならないものかと来院した。憔悴しきった身体で、不眠と不安感、落ち込みを盛んに訴えた。
過労と不眠が続くと人間は、気虚という症状を起こします。気持ちの気、気分の気、元気の気、の事で人間の身体の中には、気が充満しています。
気は寝ている時に大腸の中で生成され、朝になると気が充満して、元気ハツラツで仕事ができます。夜になると気を使い果たし、気が不足するので眠くなります。
食欲不振で栄養も不足し、過労と不眠で大腸の中では気の生成がほとんど出来ない状態です。
極端な気の不足が起きますと、頭の中で気が不足します。脳は一時でも気の不足があると脳細胞が死にますので、不足分を回すように指令を出します。
その為、脳はゆっくり休めません。夜中でも脳が起きて気の不足を要求します。脳が活動しているということは不眠になっていることです。
また、過労と不眠が続きますと、心臓系統が弱ってきます。心臓系統の弱りは不安感、ドキドキ感、気分の落ち込みを誘発します。
この様に過労と不眠が重なって、気の不足になり、内臓を弱らせ、内臓同士が気の取り合いをします。その為、悪循環となり、正常な状態に戻ることがなかなかできません。
うつ病というと気持ちの問題だからと、元気な人は簡単に考えますが、うつ病の本人は、精神的にも、肉体的にも、とても苦しいのです。
しかし、このうつ病は生活習慣病から来た長期間の節制不良ではなく、外的な要因でなったものであります。このようなうつ病の場合は、まわりからの十分なサポートと良い生活環境があれば徐々に良くなります。
あわてて医者に言われるまま、薬を多量に服用するようになると、かえって完全治癒に戻ることが遅くなります。
鍼灸治療では眠れるようになる治療と、不安感、落ち込み感、ドキドキ感を取り除くため、心臓系統を強化する治療をします。
鍼灸治療をすると快方に向かうのが早くなるのと、患者さんの生活環境や薬などによって慢性化することもあるので、そのアドバイスも出来ます。
鍼灸治療
2ヶ月間は1週間で2回の治療、3カ月目からは1週間で1回の治療に切り替え、全部で6カ月の治療で完治しています。
その後、1年経って診察に訪れましたが、いたって健康で明るくなり、びっくりしてしまいました。
※臨時休診日はお知らせをご覧ください。
[施術時間]
丸亀本院: AM8:30~12:00/PM2:00~7:00
高松院: AM9:00~12:00/PM2:00~7:00