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臨床例

臨床例 男性 91歳 老人性の腰痛

 

症状

 ぎっくり腰そっくりの腰痛で、少し動いてもピリピリ痛む。1週間前から痛みだして、何処へ行っても治る気がしない。息子がネットで検索して、此処を突きとめやって来た。

 

 トイレに行くにも、食卓の椅子に掛けるにも、痛いものだから這いずり回って何とかこなしている。年だから仕方がないと言われても、この状態で最後まで這いずり回っている訳にはいかない。何とかして貰いたい。

 

診察

 若者のぎっくり腰と、老人性の腰痛とは、症状はそっくりであるが、中身が全く違う。若者の場合は実の腰痛であるが、老人性の場合は虚の腰痛である。その為、治療は全く逆で、老人性の場合は鍼をしない。灸だけで対応する。

 

 では、若者の腰痛と、老人の腰痛を見分けるにはどうするか?それは痛いと言う腰の腰痛部位に2粒のマグレバンを貼り、他の部位(背中、喉、腕、足など)と比較脈診をしてみる。

 

 老人性の場合は痛む腰が一番虚になっており、痛む腰の反対側がもっと虚の反応が出ている。治療は痛む腰の反対側に印を付け、そこに知熱灸をして補う。

 

治療

 この老人の場合、まず痛む腰の部位を指さしてもらった。次に、その反対側に印を付け、そこに知熱灸をした。そしてまた腰を動かしてもらい、まだ痛む部位を指さしてもらう。その反対側に、知熱灸を据える。

 

 この繰り返しで、痛む部位をドンドン追いかけて行くと、やがて痛む部位が無くなる。そこで、1回目の治療は終了する。ところが老人性の腰痛の場合、1晩寝るとまた同じような痛みが出て来る。

 

 そこで、治療は毎日行う(休みの日を除いて)これが鉄則だ。腰痛は毎日治療すると薄紙をはぐように少しずつ良くなり、1ケ月~2か月で完治する。

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