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臨床例

めまい

 

虚症のめまいと実症のめまいがある。虚症のめまいは風邪引き、食欲不振、おう吐感があることが多い。実症のめまいは、光でも目が回り、便所にも這いながら行く、少しでも頭を上げると回る。助けてくれーと叫ぶ人もいる。

 

 

肝臓系統の異常(弱りまたは異常興奮)が原因の場合が多い。風邪引きが、引き金となることが多く、ウイルスとの戦いで、肝臓系統が弱る人と肝臓が異常興奮して風邪菌を追い出した後で、めまいが起きる人がある。

 

 

 

肝臓系統と腎臓系統が、内耳の三半規管に影響を与えるため、平衡感覚が取れなくなって、めまいを起こす。

 

 

 

治療は肝臓系統と腎臓系統の調整に主眼を置くことが大切である。内耳に病気があるからと言って、内耳ばかりを治療しても、簡単にはよくならない。

 

 

 

本治法を主体とした、オーソドックスな治療で身体ぜんたいの調整を最優先しながら、内耳の特攻穴として、然谷穴に知熱灸をすえるとよい。

 

 

 

特に実症のめまいは、肝臓系統の異常興奮が大きく関係しているので、肝臓系統の異常興奮を抑える瀉法という手技で鍼をすることが、病状の回復に大きく貢献する。

 

 

 

実症の場合は、症状は驚くほど酷いものであるが、肝臓系統を抑える鍼をすると劇的に回復する。

 

 

 

虚症の場合は、肝臓系統の弱りからめまいを起こしているのであるから、肝臓系統の要穴に知熱灸をして補う。

 

 

 

症例

 

女性 57歳 初診5月26日

 

5日前より風邪を引き、食欲不振、おう吐感、微熱、頭痛、があった。それらの症状がなくなったと思ったら目が回るようになってきた。

 

 

 

起きる時と寝る時にぐるぐる目が回る。しばらくじっとしていなければどうにかなりそうだ。立てって歩くときも、まっすぐに頭を立てておかなければ目が回るので怖い。

 

 

 

診察

 

この人の場合、風邪を引いた後、肝臓系統が弱り、めまいを起こしていた。

 

 

 

治療

 

本治法 脾肝相克 右から通里、商丘、左から中封、復溜を知熱灸で補った。

 

    邪の処理 右から支正、豊隆、左から光明、飛陽に接触鍼をした。

 

標治法 心経を補うため胸椎4,5、番の正中線上に知熱灸をする。

 

    脾経を補うため腰椎4,5、番の正中線上に知熱灸をする。

 

    肝経を補うため、左右期門穴に知熱灸をする。

 

    腎経を補うため、左右陰谷穴と左右の曲池穴に知熱灸をする。

 

    特攻穴として左右の然谷穴に知熱灸をする。

 

 

 

このような治療を3回して病状は治まった。

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