耳鳴り
耳鳴りにも2種類あって、一つは比較的、高齢者や体力の衰えている人、手術後の人に出てくるもので、冷えたり、過労、風邪引き、などによって体力が消耗したときに耳が鳴り、比較的低音がする。体力が回復した時には耳鳴りが軽くなり、そのときの体調によって高くなったり、低くなったりしている。
もう一つは、50歳台より若い人で、耳鳴りも金属音のように高音がする人。高音の人は
20歳代でも時々悩まされている人がいます。
耳の病気と腎臓は密接な関係にあり、足腰の冷えやすい人は、比較的、腎臓系統の弱い人が多い。(弱いのであって、悪くなっているという意味ではない。)冷房、寝冷え、風邪引き、冷たい物の飲食、寒さ、に注意が必要です。
症例 25歳、女性、
音楽のコンサートに友人と出かけていった。一番前の席に座り、演奏家の顔もよく見えるので満足していた。ところが、いざ音楽が始まると、スピーカーがすぐ横にあり、大きすぎる音がするなあと思っていた。しかし、耐えられないほどの音ではないので最後まで熱心に聞いて帰った。
帰るときに車に乗ってから、耳がふさがれているような、詰まっているような感覚があるのに気がついた。そのうち治るだろうと思って気にも留めないでいた。
次の日、リモコンでテレビをつけるときにボタンを押すと、ピッと音がするのだが、今日に限ってそのピッという音がまったく聞こえない。耳のふさがれている感じもまったく同じだ。心配になって耳鼻科に行って診察してもらった。
耳鼻科では突発性難聴の軽いものだから薬を出しておきましょうと言って薬を出してくれた。しかし、その夜から難聴だけではなく、金属音のような高い耳鳴りが、両方の耳で鳴り始めた。気が狂うのではないかと思うほど、やかましく聞こえてくる。
1週間、毎日のように耳鼻科に通った。なんだか何時まで通っても治らないような気分になってきた。次の週から接骨院に通った。一週間通ったがここも治るような気がしない。
漢方薬ではどうだろうかと思って、漢方薬を漢方専門薬店から買ってきて飲んでみた。
これも治るような気がしない、今度は鍼灸でやってみようと思い、知人の紹介で鍼灸院にやってきた。
耳鳴りが始まって4週間目である。耳鳴りのせいか、ひどく暗い顔をしている。「耳鳴りは治るのでしょうかね」「今までは治っているが、その人によっていろいろな症状を持っているので治るということは断言できませんよ」「耳鳴り以外に耳がふさがった感じもあるのですが」「うん、ふさがった感じは比較的早くよくなると思いますよ」というような会話をしてから治療を始めた。
肝経、腎経、肺経の順番で弱りがあった。その反対に胆経、三焦経は異常過敏になっている。このような身体のバランスの崩れが病気となって現れている。
身体の中にあるバランスの崩れを鍼灸で治療した。
特効穴といって、耳の病には然谷穴(足の裏にある)という、耳の病なら何でもよく効くと言われている穴がある。耳鳴り、耳垂れ、耳の痛み、中耳炎、耳ふさがり、などなんにでも効く。
耳の病で、この然谷穴に反応があるときは必ず使っている。この患者さんの然谷穴も上から触ってみると飛び上がるほど、痛みの反応があった。知熱灸という火傷をしないお灸で左右11壮づつすえると痛みの反応がなくなった。それと同時に耳のふさがれていた感じがなくなってしまった。
手中指の先端で爪の生え際、小指寄りの角に耳鳴りの穴がある。左右のこの穴に鍼をしてからその後、知熱灸をした。この治療で金属音がずいぶん柔らかい音に変化した。といってびっくりしていた。
このような治療を3回行なったところ、耳鳴りは最初に治療院を訪れたときに比べて、朝起きたときには10%くらいに少なくなった。夕方になると30%になる。耳のふさがりはまったくなくなり、リモコンのピットいう音は完全に聞こえるようになった。
5回目、左耳は朝だけ完全に治ったような感じになり、夕方になると20%ぐらいでてくる。
8回目、左耳は完全に良くなった。右の耳だけ10%くらい耳鳴りが残っている、低いかすれたような音でまだ鳴っている。
耳が鳴り始めてから4週間目という比較的早い時期に来院したこと、若くて生命力のある人の場合は、ひどい耳鳴りでも案外簡単に、よくなる可能性が高いのです。
ほんの少しは疲れるとかすれたような耳鳴りが残っているが、もう気にもならないのでこれで治療を終了したいというので、終わりにした。
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[施術時間]
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