膝関節痛
70歳 女性 160センチ 体重72kg 初診 19年6月29日
左膝が痛くてビッコを引きながら治療室に入ってきた。もう何年も整形外科に付いているのだが、膝に水がたまってくると痛くて歩けなくなる。水を抜いてもらうとすっきりして歩けるようになる。
友達にあまり水を抜いているとO脚になると脅かされた。
一番困るのが、夜中に膝がうずうずと痛んで寝られないことだ。
「先生、膝に水が溜まらないようになりませんかね」「どれどれ、両足を並べて見せてごらん」「水がたまっているかどうかを見るときには、両足を並べて比較してみると良く分かるのですよ」「右よりも左のほうがかなり腫れているでしょう」「これが水のたまっている証拠なのです」「鍼灸を始めると水は溜まらなくなりますから心配は要りません」
「ただし,膝関節痛の人は間食をする人が多いのです。間食はきっちりと止めてください」
「その上で、鍼灸治療をするとぐんぐん良くなります、間違いありません」
この女性、鍼灸は初めてでかなり緊張していた。鍼は接触鍼といって、鍼先を軽く当てるだけの鍼をすると、「先生いま鍼をしているのですか」「そうですよ、鍼先があたっているのが分かりますか」「ぜんぜん分かりません、鍼ってこんなに痛くないのですか」「そうですよ、いろいろな流派がありまして、私どもの流派ではこのような鍼をするのです」
鍼をした後で灸をした。灸は知熱灸といって、棒のように長いお灸の棒の先端に火をつけ、皮膚から2センチぐらい離してあぶるようにするお灸です。「熱くなったらハイと言って合図をしてください、次のつぼに移動しますから」「やけどをしたり、後が残ったりしないのですか」「ぜんぜんそのような心配は要りません」このように言って治療を始めると患者さんはすっかり安心してどんどん治療が進んでいった。
終わりごろになると患者さんは安心を通り越して、居眠りするので起こしながら治療するのに苦労した。
3回目に治療に来たときのこと、「先生、腫れがだいぶ引いてきましたよ、お灸をしていると水がたまらないのですね」「お灸が水をためないようにしているのではなく、あなたの身体のバランスを取ったことによって、あなた自身の体調が良くなり、水がたまらない体質に変化しているのです」
8回目、足の腫れはすっかり引いてしまった。夜中にうずうずと痛かった膝も近頃はすっかり忘れている。家庭菜園を作っているのだが、しゃがんで草抜きをすると立ち上がったときに痛くて、まだ困っている。
膝の関節痛は、慢性病で何年も前からそろそろ痛くなって現在に至っていることが多い、特に内臓の弱りが関係しているので、鍼灸治療もそう簡単にぱっぱっと治るものではない。
しかし、食生活の改善(食事指導)と共に鍼灸治療を続けていれば、生活をする上において困ることはなくなってくる。
12回目、友達と買い物に行き2時間ほど商店街を歩き回った。少し痛いかなと思ったが最後まで、それ以上の痛みは出てこなかった。翌日、痛くならないか心配だったがなんともなかった。今は1週間に1回の鍼灸治療を継続している。
鍼灸治療、治療記録
本治法 脾肝相克 灸治療
標治法 腹 右期門、日月、 足の肝経の痛みを取り除く 知熱灸
左盲兪,中注 足の脾経の痛みを取り除く 知熱灸
右四満、気穴、大赫、横骨 足の腎経の痛みを取り除く 知熱灸
右上腕三焦経、肩付け根 脾経の陰綾泉あたりの痛みを取り除く 知熱灸
右下腿膀胱経、委中とその内側 鍼してから灸をする。
右膝後側の痛みを左から取り除く
このような治療を12回施術して現在に至っている。
※臨時休診日はお知らせをご覧ください。
[施術時間]
丸亀本院: AM8:30~12:00/PM2:00~7:00
高松院: AM9:00~12:00/PM2:00~7:00