子午の法則
普門堂鍼灸院では子午の法則を活用した治療例が非常に多い。つまり子午の法則を正確に理解しないと治療が出来ないことになる。
子午とは陰経と陽経の密接な関連を意味している。子と午は、夜の0時と昼の0時の事で、夜の0時と昼の0時は密接な関連があるという事だ。その代表として子午を取り、名づけて子午治療という。
実際には、胆経(夜の0時)―心経(昼12時) 肝経―小腸経 肺経―膀胱経 大腸経―腎経 胃経―心包経 脾経―三焦経、と言う風に時間を経絡に当てはめて分けられている。
しかし、実際にはこれだけの分析では足りないのです。
そこで普門堂では独自の子午関係図を作製しました。手足の陰陽を組み合わせた経絡の関係図です。この子午関係図の完成で標治法の治療効果は飛躍的にアップしました。
一般的には子午の関係を、重視して治療に当たっている治療家は少ないようですが、標治法の半分の治療は子午関係に関わっている事を考えると、その重要性は測り知れないものがあります。
手と足の子午関係図 この図を基に説明します。
中国では古くから伝えられている子午関係というものがあります。一日の各時間にはそれぞれ五蔵六腑があてはめられており、子午関係から見みると、足と手の経絡(陰経と陽経)が同時に虚又は実となるペアが存在します。
すなわち、足背(陽)と手掌(陰)、足底(陰)と手背(陽)にはお互いに子午関係によって虚実を同じくする組み合わせがある。足底の肝経陰が虚であれば手背の小腸経を脈診で確認すると、同じく虚の反応が出ている。
このように片方の虚又は実が確認された時、その子午関係にある経絡も同じく虚又は実の反応を共有している。その為、効率よく相方の虚実が想定され、治療点探査が効率よく行うことが出来る。
また、特定の時刻に疾患が生じる場合に、対応する経脈を推定することも出来る。なお、解剖学では指先を拇指側から順に数える事になっているが、当院では反対の小指側からとしている。
次に図を見ながら説明する
1、足背小指(膀胱経1)――手掌拇指(肺経1)と
子午関係にある。
2、足背薬指(膀胱経2)――手掌示指(肺経2)と
子午関係にある。
3、足背中指(胆経) ――手掌小指(心経)と
子午関係にある。
4、足背示指(胃経) ――手掌中指(心包経1)と
子午関係にある。
5、足背拇指(肝経陽)――手掌薬指(心包経2)と
子午関係にある。
6、足底小指(腎経1)――手背拇指(大腸経1)と
子午関係にある。
7、足底薬指(腎経2)――手背示指(大腸経2)と
子午関係にある。
8、足底中指(脾経1)――手背薬指(三焦経1)と
子午関係にある。
9、足底示指(脾経2)――手背中指(三焦経2)と
子午関係にある。
10、足底拇指(肝経陰)――手背小指(小腸経)と
子午関係にある。
実際の例によって順番に解説します。
1、 膀胱経1と肺経1――― 風邪を引くと膀胱経1に虚の反応が現れます。治療点は背のⅠ-1Kを取ります。これに対して肺経1も虚の反応を示し、治療点は胸の1-5Lを取ります。この背と胸の治療により肺に入ったウイルスを効率よく取り除くことが出来ます。
2、 膀胱経2と肺経2――― 首のコリと喉の痛み。この子午関係は実になり易い関係にあります。首のコリを下腿陽3-2Lに鍼灸をして取り除きます。喉の痛みは前腕陰4-1K(太淵2)の接触鍼で取り除きます。
3、 胆経と心経――― 心臓疾患の治療。胆経の3-1Kに虚の反応が出ることが多く、背3-1Kに治療点を取ります。心経は1-1Lに虚の反応が出ることが多く、胸の1-1Lに治療点を取ります。この背と胸の治療点を治療することにより効率的に心臓疾患を良くすることが出来ます。
4、 胃経と心包経1――― 胃腸が弱く食欲不振の時には足三里に治療点を取ります。心包経は3-1Kから腹に飛び臍の3-1Kが治療点となります。これによって体力を根本的に改善する力が出ます。ただし、胃経は実になる可能性が高く、胃経が実の時は心包経1が実になる可能性は無いので、そこが謎です。
5、 肝経陽と心包経2――― 肝経陽は実になる可能性が高く、眩暈や頭痛の時、太衝穴に接触鍼をして治療します。心包経2が同時に実になる事はあまりありません。
6、 腎経1と大腸経1―――腎経1は実になる可能性は高いのですが、腎経1を直接に瀉法する事はあまりありません。大腸経1は高い確率で実になります。首コリに対して手背拇指5-5Lが実になり、そこから前腕陽に飛び、前腕陽5-5Lに鍼灸して治療します。
7、 腎経2と大腸経2―――この経は両方とも虚になり易く、必ずと言って良いほど、病人には虚の反応が出ています。腎経2では、足の冷える人に薬指内端に知熱灸をする事があります。大腸経2では目の疲れに頭4-1Kを使い知熱灸します。
8、 脾経1と三焦経1――― 妊婦さんの場合、脾経1が虚になります。三陰交を使い脾経1を強めます。三焦経1は腰を強める為、腰2-1Kに知熱灸をします。
9、 脾経2と三焦経2――― ともに虚の反応が出やすいです。脾経2は本治法の時によく使います。三焦経2は便秘の時、腰の3-1Kに知熱灸をして便秘を解消します。
10、肝経陰と小腸経―――ともに虚の反応が出やすいです。肝経陰は肝臓を強める為に期門穴に知熱灸をします。小腸経は首の付け根のコリに対して、背1-1Lに知熱灸をして治療します。
このようにほとんどの経において、虚又は実の反応が同時に出ているのが特徴です。両方同時に反応が出ている場合と、片方だけに反応が出ている場合があります。念のために両方の経に提鍼を当て反応を確かめると良いでしょう。
時刻と子午の法則
1、 23時から 1時まで ―――胆経と心経の時刻
11時から13時まで 症状 心臓疾患が起きやすい。
2、 1時から 3時まで ―――肝経と小腸経の時刻
13時から15時まで 症状 夜中の1~3時に
目が覚める。
3、 3時から 5時まで ―――肺経と膀胱経の時刻
15時から17時まで 症状 朝早く目が覚めて
寝られない。
4、 5時から 7時まで ―――大腸経と腎経の時刻
17時から19時まで 症状 夕方になると気分が
良くなる。
5、 7時から 9時まで ―――胃経と心包経の時刻
19時から21時まで 症状 花粉症などが酷くなる。
6、 9時から11時まで ―――脾経と三焦経の時刻
21時から23時まで 症状 食欲がありすぎたり、
無くなったりする。
子午の法則は時刻ごとの病症がありますが、それはその時刻に起きやすい病症の事です。それよりも重要なのは、子午の法則に沿って同時に虚又は実の反応が起きる事に注目してください。標治法の治療に役立ちます。
※臨時休診日はお知らせをご覧ください。
[施術時間]
丸亀本院: AM8:30~12:00/PM2:00~7:00
高松院: AM9:00~12:00/PM2:00~7:00