病気になっていると言うことは、必ず身体のバランスが崩れているから病気になっているのです。
例えば、膝が痛くて水が溜まる病人の場合、同じ膝の痛みでも鍼灸で診察する場合、12経絡のうちどの経絡が弱って痛くなり、または過敏になりすぎて、水が溜まるのかを判定します。そしてその経絡のバランスを整えてあげると、その患者自体の自然治癒能力が強くなり、体内で治そうとする力が強く働き、完全治癒に向かって体が動き出すのです。
〇〇さん72歳、女性、半年前から左膝が痛くなり困っている、最近ではお医者さんで水を抜いて貰うと少しは良くなるが、また水が溜まってくる。
友達が余り水ばかり抜いていると、膝が本当に悪くなってしまうよ、と言われて心配になってきた。水が溜まらないようになりませんかね、と言って来院する。
膝には内側に、肝経、脾経、腎経という3本の経絡が通っています。外側には、胃経、胆経、膀胱経と3本の経絡が通っています。
この患者さんを診察すると、内側の肝経、と脾経が弱っていました。
そこで、肝経を強めるために、お腹の右期門穴に知熱灸をして補いました。もう1つの脾経を強めるためには、お腹の神闕穴に知熱灸をして補いました。
長年の生活習慣で弱っているお腹の経絡を補ってあげることにより、腹から足にかけて通っている、肝経と脾経が強くなると、膝がしっかりしてくるのです。
その経絡がしっかりしてくると痛みがなくなりますから、水も溜まらなくなります。
この患者さん1ヶ月で10回の治療をしましたが、その間、全く水は溜まらないばかりか、どんどん歩けるようになっています。
もう一つ例を挙げると、〇〇さん、女性、55歳、もう3年も左耳鳴りがして止らない。
あきらめてはいるのですが、ここの治療院で、耳鳴りが治ったということを友人から聞いてやって来ました、と言う。
診察してみると、腎経という経絡が弱っていました。腎経が弱い人は足腰が冷えやすいのです。冬の寒さや、夏の冷房、冷蔵庫の冷たい飲み物、等によって身体を冷やすと、腎経が変動を起こし、その経絡上にある耳に異変が起きるのです。
この人には腎経を徹底的に補う治療をすると共に、足の腎経にある右然谷穴に知熱灸をして補いました。週2度、15回の治療で耳鳴りは完全に治癒しています。
膝や耳だからといって、その患部に治療するのではなく、何径の変動によっておきた病気かを把握して、その経絡の変動を治療するのです。
鍼灸が2500年も続いているということは、12経絡、という身体の根本を形成する、気の流れる道がある、ということを正しく掴んでいることです。
まだはっきりと科学的に解明されていないのですが、2500年も続くことは、正しい医療の根本が秘められていると確信しています。
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