提鍼は昔からありました。東洋はり医学会でも、提鍼を穴にあて脈を診てその穴の位置が正常かどうかを判断するのに使っていました。また、プラスとマイナスの磁石をプラスチックの棒の先端に取り付けて虚や実の判定に使うこともありました。
銅と亜鉛は静電気でプラスとマイナスの性質を持っている関係上、銅で実を、亜鉛で虚を探索したり、奇経治療に使ったりしていました。
Oリングテストも色紙を貼る治療法も虚、実の判定法として考え出されたものだと思います。
昔から虚と実を完璧に判定できる方法がないものか、諸先輩がたの苦労は並大抵のものではなかったと思います。
私もまた、虚、実の判定に苦労した一人です。最初の頃は、一日に1人か2人しかお客が来ない毎日でしたから、時間は有り余るほどありました。
銅や亜鉛、磁石、昔からある提鍼など、いろいろ使い分けしてみましたが、今ひとつ完璧なものがありませんでした。
しかし、提鍼をつぼに当て脈を診ると確かに変化している、何とかしてこの提鍼で虚と実の変化をつかめないものか。銅と亜鉛、磁石のプラスとマイナス、0リングテスト、など試してみたが、いまひとつしっくりこない。
もっと簡単でしっかりわかる方法はないものか、マグレバンの粒を提鍼の先と見てあれこれ実験をした。
実の患部に提鍼を当て、脈を診ると脈の変化がよく判る。そこで一粒のマグレバンで実の変化は察知することが出来ることが判りました。
問題は虚している患部をどうやって察知するかです。
あれこれやっているうちに偶然、2粒のマグレバンで虚の判定が出来ることが分かった。
2粒のマグレバンは3ミリくらいの間隔をあけてある。3ミリの間隔とマグレバンの刺激が虚している患部にとって、気の流れを呼び込むのではないか。その為、脈状が変化する。
虚している患部に2粒のマグレバンを当て、脈を診ると沈脈が強く打ってくる。
また2粒のマグレバンより、4粒のほうがより虚している患部を察知する能力が高いこともわかった。
この変化を脈診で察知して、虚と実、また虚実同時に持っている患部の判定ができるようになった。
たったこれだけのことで5年かかっていました。
現在は片方の提鍼の先に銅粒を1粒つけて、反対側には4粒の亜鉛粒を一定の間隔を開けてつけている。この提鍼によって、虚実の判定がスムーズに出来るようになった。
虚実の判定、証の決定、ドーゼの過不足、予後の判定など、今では治療の初めから終わりまで、提鍼は大活躍している。
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