奇経治療には独特の反応が出ているのが特徴です。前腕内側全体が虚しているとか、上腕内側全体が虚しているとか、広い範囲で虚実の反応があります。 治療の時には必ず奇経反応があるかないか、提鍼で探してみる事が大切です。
なぜ広い範囲で反応があるかというと、気とは煙のようなもので、経の中に病が一杯になると溢れ出して背中一面に反応が出るようなことが起こります。この反応が関連する手足に現れるのです。
奇経は広い範囲で反応が出ると言う事は、多くの病気が,奇経と言う単純な要穴だけで治療できる利点があります。顔面の病であれは目の病、歯の病、鼻の病、口の病、顔面神経痛など、顔面に関する病あらゆる病気に奇経反応があるときには適応します。
虚の反応、実の反応、虚実同時に出ている反応の3種類があります。
その反応に応じて鍼をするか,灸をするか,鍼灸同時にするかが決まります。また奇経8脈(実際には12脈ある)にはそれぞれ治療できる部位が決まつており、その部位の病で奇経反応があればよく効きます。
身体全体の病に効果がありますが、奇経反応がなければ効きません、ということは奇経には奇経独特の病を治す力があり、奇経の病はかなり多いということです。次に部位を記します。
経穴 | 手足 | 体幹との関連 | 経穴 | 手足 | 体幹との関連 |
内関 | 大腿内側 | 胸部、陰部 | 公孫 | 上腕内側 | 腹部、前頸部 |
列欠 | 下腿内側 | 前頸部、腹部 | 照海 | 前腕内側 | 陰部、胸部 |
外関 | 大腿外側 | 背部、臀部 | 臨泣 | 上腕外側 | 腰部、後頸部 |
後谿 | 下腿外側 | 後頸部、腰部 | 申脉 | 前腕外側 | 臀部、背部 |
合谷 | 足底 | 顔面 | 陥谷 | 手掌 | 顔面 |
太衝 | 手背 | 頭部 | 通里 | 足背 | 頭部 |
* この表の見方、横に見ます.内関に対して横の公孫が関連します。
* また、大腿内側、胸部、陰部、それから上腕内側、腹部、前頸部も関連します。
* 右内関―左公孫に虚の反応があるときには右大腿内側と左上腕内側にも虚の反応があります。
* 胸部、陰部、腹部、前頸部ではこのうちどこかで、虚の反応があります。言い換えると、このうちのどこかに病があり、虚の反応が出ているとき、内関―公孫と言う奇経に反応が現れ、ここが治療点となるのです。
* 経穴と手足の部位、体幹の部位はすべて関連しています。これは内関―公孫の場合、横の線はすべて関連しているということです。* 奇経の場合は経穴と手足や体幹の部位全体に反応が出るという特徴があります。これは右内関―左公孫の場合、右大腿内側と左上腕内側の全体に虚の反応が現れています。また、患部が腹部であった場合、右または左の腹部全体に虚の反応が現れています。
* 経穴には圧痛、硬結の反応が出ていることが多い。例えば右合谷―左陥谷の場合、その穴を押すとかなりの圧痛が感じられる。
* 普通は斜めに取穴することが多い、右列欠―左照海というように相方が反対側にくる。この場合、どちらの列欠を取穴するかは提鍼を当て、反応があるほうを取穴する。
* 治療は反応がなくなるのを目安として提鍼で反応を見ながら治療すると良い。これは経穴に虚の反応があるとき、知熱灸を3壮づつして、提鍼で反応を確かめます。まだ虚の反応があるきには、虚の反応がなくなるまで知熱灸を追加するということです。実の反応の時には接触鍼をします。虚実同時の反応があるときには接触鍼をして実の反応が取れたら、同じところに知熱灸をして虚の反応を取り除きます。
奇経治療で一番大切なことは、奇経穴の部位をしっかりと覚えておくことです。
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[施術時間]
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