何処が一番虚か? 何処が一番実か? 3か所の虚の反応があると、その中で虚の順番はどうなっているか?などを知ることによって、最適な治療点を決めることが出来ます。その意味で比較脈診をしっかり覚えましょう。
虚と実が混在しているいくつかの部位(A、B、C、D、Eとする)の比較を例に説明します。まず普門堂の虚実判別棒(以下「提鍼」)と2粒のマグレバンを用意します。提鍼には片方に1粒の銅、もう片方に4粒の亜鉛が付いています。
1粒の銅が一番実、2粒のマグレバンが2番目、4粒の亜鉛が3番目と、実の強い順番が来ます。(実の強い順:1粒の銅>2粒のマグレバン>4粒の亜鉛)
この3つの虚実を利用して比較脈診をするのです。
A、B、C、D、Eの5点の内、例えば、Cに2粒のマグレバンを貼ります。そして提鍼の銅(1粒)を他の場所に当てて脈を診ます。A、B、Dが実の反応を示すとEは4粒に対して虚ということになります。
実の反応があったA、B、DのうちBに2粒のマグレバンを貼ります。提鍼の銅(1粒)を当てるとAが実の反応を示し、Dは4粒で虚の反応を示しました。この検査により実の順番はA、B、D、C、Eという事になりました。
後程に出てきますが、ウエーブで右足背―左下腿―右大腿―左背などに飛ぶ場合、その内、何処が一番虚であるかを確かめて、一番虚の部位を治療点とするのです。
また本治法で井、栄、兪、経、合の何処に治療点を決めるかという時も、比較脈診で決めます。 臨床例集を見ると分かりますが、総ての標治法において比較脈診を縦横に使っています。
特に正確な番地を決める時など、手背、足背で番地を決めることが良くあります。それは、患者さんの頭の中(精神疾患など)に実や虚の反応があると認識した時、必ず手背か足背に反応点が現れるのです。
頭と手背、足背は密接な関係にありますから、頭の中の情報は手足に必ず出ているのです。手背と足背を比較して手背が実であれば、手背の中の何処に実があるかを比較脈診で確定します。
患者さんは「この辺りが痛い」と言いますが、正確な番地を把握するには、比較脈診で絞り込む必要があるのです。手背で正確な番地が分かるとウエーブで治療点に飛んでも、その治療点が全身マップ図を参考に決定できるのです。
それでもある程度の正確さで治療点が分かりますが、それ以上の精密な治療点は脈を診ながら提鍼を身体の上下、左右に滑らせて、脈がしっかり来るところを探す必要があります。
比較脈診は地味な存在ですが、縁の下の力持ちのような働きをして、治療点を正確に導き出し、的をシッカリと射止める補佐をする働きをします。私は比較脈診を自由自在に使いこなして治療効果を上げています。
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