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臨床例

頭の引きつり

 

 臨床例 70歳、女性。

 

 5年前に脳梗塞になり、頭の大手術をした。大きな手術だったらしく、頭が変形しているほどの傷が残っている。先生、1日に何回もキューっと引きつって、痛いし、頭がおかしくなるのです。寝ている時でも、ご飯を食べている時でも、いつ起きるか分からないので困るのです。

 

 この症状を聞いただけでは、はてな?どこの変化でこのような症状が出ているのだろうか? 想像がつかない。それよりも、この患者さん、歩くのにもふらついて、フラフラしている。

 

 こけたら大変だ、ずいぶんフラフラしていますね。そうです手術をしてから、姿勢が安定しなくて、何かに摑まらなくでは、フラフラするのです。だけど、転んだことは無いし、手押しバックを持っていたら、どこまでも歩けるのです。

 

 へー!! こんなにフラフラしているのに転んだことは無いのか? 不思議な気がした。元気なのか、病弱なのか、見ただけでは想像がつかない。兎に角、引きつりがあるのだから、実の症状だろうと見当をつけた。

 

 手足の指から一番実の反応がある所を探してみることにした。足の親指背面に実の強い反応があり、太衝穴が特に強かった。なんだ、この症状は肝実ではないか、どうして肝実になったのだろう。

 

 食生活や薬の関係などを聞いてみると、手術後に強い発作を起こして、意識を失うほどの痙攣をおこした。それからお医者さんは癲癇の薬を処方してくれました。今ではその薬を何年も飲んでいます。絶対にやめたらダメだと強く言われています。

 

 癲癇の薬は飲んでいると気分が悪くなるので、半分くらい減らしたら、気分も少し良くなりました。引きつりも少し減ったような感じです。それなら、その薬を辞めたらどうですか?それはダメと言われていますから,辞められません。

 

 まあそれは仕方ないか。でも、この引きつりは薬が関係しており、肝臓で薬の毒素を解毒するときに、肝臓に負担が掛り、肝臓が過敏になって、頭の引きつりとなっている。頭の引きつりの原因は薬にある事がはっきりしているのだが、本人が辞められないというのでは仕方がない。こまったものだ。

 

 太衝穴の接触鍼をして、肝実の反応を取り除く治療をした。治療後に頭の引きつりはどうですか、と尋ねると、時々引きつるので今は何ともない。だけど頭がスッキリしている感じはあります。これなら引きつりが来ないような感じがします、と言って喜んだ。

 

 その後、3回治療したが、今では、ほんの少しだけ、頭の引きつりが残っている。薬を辞めないのだからこれは仕方がないかな、患者さんにはそう説明している。

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